2016年12月28日水曜日

ダッチデザインと風車、そしてパリへ|アムステルダム -4日目-

※こちらの記事は、HOUYHNHNMブログ『Escape by Melody《メロディによる逃走》』に掲載されていた内容です。


2016年5月1日。
今日は、アムステルダムからパリへ向かう日。
空港行きの電車に向かう途中。
本当にアムステルダムの街は、どこもかしこもデザインに溢れてる。




スキポール空港について、パリ行きの飛行機まで5時間弱。
締めくくりにチューリップを見ようと、世界最大のフラワーパークでもあるキューケンホフ公園へ向かうバスの停留所へ行くと・・・なんと信じられないほどの長蛇の列。
そう、曜日の感覚がなかったけど、今日は日曜日。
家族連れも、カップルも、友達同士も、みんなチケットを握りしめて並んでる。

チケットすら持ち合わせていなかったこともあり、潔く諦めて、他に行ける場所を探して、急遽、リーケル風車(Riekermolen)へ向かうことに。


オランダ鉄道でRAI駅まで行き、そこからバスに乗り継いでNieuw Herlaerを下車。
5分くらい歩くと、アムステル公園に到着。
空に広がる美しい青色と、一面の野原の緑色と、存在感のある風車がひとつ見えてくる。
天気がよかったこともあって、最高のロケーション。
中心部からそんなに遠くないので(30分くらい)、気軽に行けてとってもオススメ。


よくここでスケッチをしていたレンブラントの銅像も。




公園内にあるレストランでランチ。
自転車に乗る人、ジョギングをする人、犬の散歩をする人。
のんびりとしたアムステルダムの日曜日の風景が、ただ、そこにある。




空港へ戻らなければならない時間が近づいてきた。
ふわっと心地よい風が吹いて、木の葉っぱたちが揺れて、太陽の光と戯れる。
まるで、私に向かって「バイバイ、またね」と話しかけてくれているように。





またバスと電車を乗り継いで、空港へ向かう。
駅構内のデザインひとつひとつに、足が止まる。
形も、色も、バランスも、わくわくするものばかり。





電車から見えるビルや建物も。



というわけで、アムステルダムにさようならを告げて、いざパリへ。




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"あなたを愛してると伝えて"というタイトルの、フランスの女優/歌手のヴァネッサ・パラディの1990年の楽曲。(作詞はセルジュ・ゲンズブール)
異国の車窓からの景色との相性が抜群。人恋しい気持ちになります。
アムステルダムに後ろ髪を引かれつつ、憧れのパリへ。

今回はじめてPVを見たけど、当時"フレンチ・ロリータ"と呼ばれていた17歳の彼女の、子供と大人の狭間を漂う感じがたまらない。

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Vanessa Paradis - Dis-Lui Toi Que Je T'Aime


2016年12月24日土曜日

レンブラントと牧野邦夫、Redlight Records、De School、Sassy J|アムステルダム -3日目-

※こちらの記事は、HOUYHNHNMブログ『Escape by Melody《メロディによる逃走》』に掲載されていた内容です。



アムステルダムの3日目は、ランゲブルグ通りにある「De laatste kruimel」というパン屋さんから。
次から次へとお客さんが来る人気店。
パンはもちろん、キッシュやスイーツの種類もかなり豊富で迷っちゃう。
ひとつひとつのサイズも、とても大きい。



東方面へ運河をいくつか越えて、レンブラントの家(Museum Het Rembrandthuis、レンブラントハイス美術館)へ。

その名の通り、画家のレンブラントが1639年から20年間住んでいた家。
中に入ると、レンブラントに関連する絵画が壁という壁に展示されているのに加え、レンブラントが住んでいた当時のように再現されている。
家なのでさほど広くはないけど、イメージを掻き立てられる。



私の大叔父(おじいちゃんの弟)は、牧野邦夫という画家だった。(1986年没)
本人とは、小さい頃に数回会ったことがあるくらいだけど、ハンサムだったことをよく覚えてる。
邦夫おじちゃんは、レンブラントにかなり傾倒していて(レンブラント宛に書いた自分の手紙に対して、自作自演のレンブラントからの叱咤激励の返事を書くほど)オランダにも行ったこともあると聞いたことがあったので、自分の中でぐるーっと巡り巡る感覚があるのも含めて、感慨深かった。




シント・アントニースブレー通り(Sint Antoniesbreestraat)にはレコード屋さんや古着屋さんがいくつか並ぶ。
Bis Vintage For Womenという古着屋さんで、オレンジ色のタイトスカートを購入。値段も良心的。



そして、いよいよずっと楽しみだったRedlight RecordsへIN。(詳細はひとつ前の記事で)
細い路地を抜けると、開けっ放しのドア。



こじんまりとした店内に、厳選された中古レコードがずらっと並ぶ。
7インチも、ほんの少しだけ。
私は一枚、Alice ColtraneのLP"Radha-Krsna Nama Sankirtana"を購入。


こちらも値段は全体的に良心的。
ひとつひとつの価値がきちんと反映された金額。




トラムに乗って、アムステルダム国立美術館(Rijksmuseum Amsterdam)へ。

フェルメール、レンブラントをはじめとした、17世紀のオランダの黄金時代の作品が充実しているこの場所は、オランダの中でも最大の規模の持つ美術館。
10年間の歳月を経て2013年にリニューアルオープンしたのもあり、館内はきれいに整っていてとても快適。
外の光が差し込む中央スペースも美しい。


「手紙を読む青衣の女」(1662~63) / ヨハネス・フェルメール

「鍍金した酒杯のある静物」(1635) / ウィレム・クラース・ヘダ

それにしても、レンブラントの作品は、本当に邦夫おじちゃんの絵とそっくりだ。
邦夫おじちゃんは、心底、彼の作品を愛し、尊敬していたのだとつくづく感じる。



そのまま歩いてヨルダン地区にあるナイン・ストリート(De 9 Straatjes)へ。



小さな9つの通りに、ファッション、インテリア、コスメ、カフェなどお洒落なお店が立ち並ぶお洒落なエリア。
東京でいうと代官山とか中目黒とかそんな雰囲気。
外は明るいけど、時間帯的にはすでに19時近くなので、お店はほとんどやっていなかったけど、ウィンドウショッピングだけでも十分楽しめる。






そして夜は、今回一番楽しみだったと言っても過言ではない、De Schoolというクラブへ。

中心部から少し離れたところにある、古い学校を改装した建物。
「学校だった」雰囲気は全体的に残しつつ、ところどころにデザインがほどこされていて、DIY感が味わえるとっても素敵な空間。
カフェやレストランも併設している。



ワインとおつまみでひとやすみしたあと、童心に返ったように無性にドキドキしながら、地下のメインフロアへ向かう。
真っ暗でよく見えなかったけど、廊下や階段、窓ガラスなど、学校だったときのものそのままだったと思う。
本当に空間として、パーフェクトな場所だ。


この日のゲストは、ロンドンのDJ/プロデューサーであるJoy Orbisonと、スイスのベルンを拠点にしている女性DJのSassy J。


Sassy Jのプレイが、特に楽しみだった。
彼女のインタビュー(RA Podcast: RA.483 Sassy J - ベルンのDJによる、ダンスフロアの瞑想)は、すごくシンプルにかつコンパクトにまとめられていて、お気に入りのひとつ。
世界でもっとも信頼出来る女性DJは、間違いなく彼女だ。

そして、この日の夜も、それをまったく裏切ることのない彼女のプレイに心を奪われっぱなし。
なんだかこう、一言ずつ、ゆっくり丁寧に、語りかけてくれているような。
彼女の作り上げる温度は、熱すぎず、ぬるすぎない。
彼女の作り上げる高度は、高すぎず、低すぎない。
踊れるのはもちろんのこと、非常に音楽的であることも大きな理由であることは言うまでもない。

De SchoolのDJブースは、360度、お客さんが回りこめるような、少しめずらしいつくりになっている。(とはいえ、前方以外にはあまりお客さんはいない)
ブースの後ろ側へ行って彼女が用意しているレコードをこっそり覗いていると、彼女が振り返って、声をかけてくれた。
「あら、今日Redlightにいたわよね?来てくれてどうもありがとう!」


実は、昼間に行ったRedlight Recordsで、Sassy Jに似た女性が訪れて、レコードを大量に試聴していた。
とても鮮やかな緑色のコートを着た女性は、結局1枚も買わずに、店員さんにごめんなさいね、と謝りつつ、随分と長居していた私たちににこっと笑って、お店を出て行った。


2016年4月30日。
私にとって、忘れられない、大切な1日。


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今年、何十回と聴いた、Sassy JのDJmix。
音楽の旅へどうぞ。

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RA.483 Sassy J