2018年1月29日月曜日

東京都庭園美術館『装飾は流転する』

※こちらの記事は、HOUYHNHNMブログ『Escape by Melody《メロディによる逃走》』に掲載されていた内容です。


白金台にある「東京都庭園美術館」へ。
いわゆる「美術館」とは少し趣の違う朝香宮夫妻(皇族の一家)の邸宅だったこの建物は、それ自体がすでに、ひとつの美術品のよう。
こだわり抜かれた美意識が、細部の細部まで散りばめられていて、毎回行くたびにうっとりして、何度も何度もため息をついてしまう。(はぁ・・・!)


今回は「装飾」を軸にして、多種多様なアーティストが集合する「装飾は流転する」という展示。
こういったコンセプトをメインにおいた展示は、出会わないものたちが出会う「偶然性」が、作品と作品のあいだの空気を埋めて尽くしていて、心がどうしようもなくワクワクする。

行き過ぎた「装飾」から、目を凝らさないと気がつかない「装飾」、
再編集/サンプリングされた「装飾」、日常の延長線上にある「装飾」まで。
どの作品も共通しているのは、触りたくなる「質感」と、覗き込みたくなる「繊細さ」。


その中でも印象的だったのは、コア・ポア(Kour Pour)というアーティスト。







絨毯の修復職人だったイラン系イギリス人の父親からインスピレーションを受け、ペルシャ絨毯の柄をベースに、独自の感性をキャンバスに重ね合わせていくそのスタイルは、唯一無二。
絨毯の歪みまで再現していて、遠目に見るとそれが絵だとは分からなかった。
近づいていってよーく見ると、愛嬌のある絵のタッチと色合いがとても印象的で、思わず頬が緩んでしまうものも。
ヒップホップとの出会いがひとつのターニングポイントだと分かる、彼のドキュメンタリー映像もとても興味深かった。
それぞれの作品が、一曲ずつ楽曲になったらどんな風になるんだろうなぁ。(妄想)



コア・ポアの作品は、そのほとんどが「新館」の方に展示されていたのだけれど、シックな庭園美術館の本館には、それぞれの質感が美しく混ざり合う、ヴィム・デルヴォワ、ニンケ・コスター、髙田安規子・政子などの作品。
そして、それらに相反するかのように、山縣良和の作品が違和感を醸し出して、それぞれの魅力を引き出す。

ヴィム・デルヴォワ

ニンケ・コスター

髙田安規子・政子

山縣良和


彼らの試みを見る時、
私たちは装飾という行為が、
生々しい現実を複雑なまま認識するために必要な切り札だということに気がつくのです。
––––––––––––– 東京都庭園美術館 オフィシャルサイトより


この「生々しい現実を複雑なまま認識する」感覚は、この展示に訪れる数日前に観た映画「ブレードランナー 2049」で、強烈に感じたところだった。
また、この情報過多な現代に対して・・・"対して"じゃないな、現代"の中で"、日々抱いている感覚でもあった。
庭園美術館を出た瞬間、私の中で、それらの「混沌」「混乱」の歯車が、ゆっくりと回り出した。


「いびつにしたい」とも思うし、
「きれいに納めたい」とも思う。
それが、人間の本能なんだろうな、と思う。




「本館」と「新館」をつなぐ通路からの景色。
澄んだ空気の中で、月が美しく浮かぶ夜。
明けて次の日、東京では4年ぶりの大雪。







2014年から2016年に制作された、スコットランドのHugh Smallによるピアノ・ソロ曲集『Piano Music』は、深深とした空気にぴったりの作品。

HUGH SMALL - Mission Statement

彼は、女性シンガーのAnna Howsonとニュー・ウェイブ色の強いデュオ「Vazz」としても活動をしており、最近、ベルギーのレーベル《STROOM 〰》から『Submerged Vessels And Other Stories』をリリースしており、そのボーナスCD付属として、この『Piano Music』がついてくる。
本編の『Submerged Vessels And Other Stories』は、バンドサウンドの楽曲と、ピアノソロの楽曲が入り混じった構成になっている。
この、「ん?」とちょっと振り返りたくなる存在が、たまらなく好き。

VAZZ - Mezquita


VAZZ - Pearls Dub

2018年1月14日日曜日

「フエルサブルータ/FUERZA BRUTA WA!」のラウンジDJナイトを終えて

※こちらの記事は、HOUYHNHNMブログ『Escape by Melody《メロディによる逃走》』に掲載されていた内容です。


先日の「フエルサブルータ」、大盛り上がりでした。
体験型のショー、と一言だけでは言いあらわせない内容で、想像を超えるアクション(動き)が途切れなく続く70分間は、重力や浮力を最大限に生かしつつ、演者とお客さんの線引きを、そして、舞台と観客エリアの線引きを取っ払う圧倒的なパフォーマンスの連続でした。

私は準備もあったので全部は見られなかったけど、公演後、扉から出てきたお客さんたちの楽しそうな表情が忘れられない。



本公演後のDJ NIGHTも、興奮が残る雰囲気の中、賑やかで楽しい空間でした。
今回の「フエルサブルータ」は「和」がテーマだったので、DJの選曲も、全曲ではないですが、日本人の楽曲や、和を連想させるような楽器の鳴りがあるものを少し取り入れました。
あと、これは余談ですが、洋服に羽織を合わせました。
和服はもう持っていないんですが、昔、鎌倉で買ったこの羽織だけはずっと手放すことができないまま。
不思議なことに、数年に1回、こうやって着る機会が訪れることもあって。
次着るのは、いつになるかなぁ。

 photo by waddy


2018年1月11日木曜日

「フエルサブルータ」で、究極の非日常体験を。

※こちらの記事は、HOUYHNHNMブログ『Escape by Melody《メロディによる逃走》』に掲載されていた内容です。



「フエルサブルータ」って?

2005年に地球の裏側、アルゼンチンで生まれたカンパニー。 明言する言葉はないけれど、しいて言うならば「獣の力」「生の力」。 ニューヨークのオフ・ブロードウェイでも大好評を博し、2014年に来日した際には2ヶ月で役6万人を動員した、新進気鋭のパフォーマンス集団、フエルサブルータ。 おびただしい紙吹雪の中、人が走り、空を飛び逆さまになったかと思えば、空からプールが降ってきて、観客はそれを触ることができる。全方位が舞台のエキサイティングなショウ。
http://t.pia.jp/feature/event/fbw/ より引用


現在、毎週金曜日限定で、本公演後に「ラウンジDJナイト」が行われており、
1月12日(金)は、私がDJを担当することになりました。
場所は、品川プリンス・ステラボール。
究極の非日常体験と、その余韻を美味しいお酒と音楽とともに。
詳細は公式サイトからどうぞ。