※こちらの記事は、HOUYHNHNMブログ『Escape by Melody《メロディによる逃走》』に掲載されていた内容です。
昔から、ラジオが好きでした。
小学校の卒業文集に書いた私の将来の夢は、とりあえず「ラジオ関係のお仕事」でした。(具体的になんなのかは、なにもイメージが湧いていなかったけど)
中学生のときには、オールナイトニッポンに電話で出演して、クイズに正解して賞金までもらいました。
オールナイトニッポン以外にも、AM/FM問わずにあれこれ送ったFAX(当時の主流)は、ほとんどの確率で読まれました。(テレフォンカードがお礼に送られてくるケースが多かった)
ある日、当時のTOKYO FM(80.0)とJ-WAVE FM(81.3)の周波数のあいだに、新聞には載っていないラジオのチャンネル(周波数)を見つけました。
放送日は不定期で、だいたい20〜21時くらいから24時くらいまで。
日本国内外問わず、最新のポップス全般がフルで流れており、曲と曲のあいだに時折、「こちらは◯◯FMです。番組へのFAXは03-XXXX-XXXXまでどうぞ」という低めの男性の声がはさまり、ただ、実際にFAXらしいものが読まれていることはありませんでした。
そこで私は、すぐにFAXを送ってコンタクト。
するとその男性は、私の送ったFAXを、タイムリーに読んでくれました。
それから放送を確認できた日は必ず、FAXを送るようになりました。
(毎日のように、私は何を書いて送っていたんだろう。まったく思い出せない!)
ひとりでそんなことをやっていてもおもしろくないので、学校の友達にこの謎のラジオ局の存在を広めていきました。
すると、私の家から少し遠いところに住む友達は、そのラジオが聞こえないことがわかり、決められた範囲にしか届かない、一般の人がやってるラジオなんだと、すぐに想像ができました。(たぶん、ダメなやつ)
そのうち、友達も次々とFAXを送るようになり、いつの間にかそのラジオは、私たちの「溜まり場」のようになっていました。
中学生の私たちには、まだインターネットも携帯電話も普及していなかったので、この実体のあるようなないような「溜まり場」は、ものすごく魅力的でした。
学校、家、カラオケ、ゲームセンター(プリクラ全盛期)・・・。
友達と会える場所はそれくらいだったけど、そこに「ラジオ」が加わることは、とにかく不思議な感覚でうれしかったし、ラジオの主の男性も、こんなにFAXが来たことはかつてなかったのか、毎回全部、うれしそうに読んでくれていました。
それから数ヶ月して、そのラジオ局で、友達と一緒に、1日限りのラジオパーソナリティをやることになりました。
ある晴れた日曜日の昼間、ラジオの主の男性から教えてもらった住所の通りに向かうと、そこは私の家から歩いて5分ほどで、しかも、6年間通っていた小学校の通学路の途中にある、見慣れたアパートでした。
女子中学生が3人で「こんにちは!はじめましてー!」と、無邪気に見知らぬ男性の一人暮らしのアパートに行くなんて、今だとちょっと考えられないかもしれない、と思いつつ、いや、今の女子中学生もこういう好奇心みたいなものはあまり変わらないのかもしれない、とも思いつつ、ただ、さすがに当時「1人はまずいな」とは思っていたことを思い出したり。
私たち3人が入って全員が身動きがとれなくなるくらいのワンルームの部屋には、ひとつのマイクと、そんなに大掛かりではない機材のようなものが用意されており、それらを囲んで、とにかく好き勝手にやらせてもらいました。
4〜5時間くらい放送させてもらったと思うんだけど、ほんと、何をあんなに話してたんだろう。
結局、FAXを送ってくるのは地元の友達だけ、という「溜まり場」状態は変わらずで、でも「聴いている側」から「聴いてもらう側」になる感覚は、少し変な感じがしたっけ。まぁ、放送が始まって30分もしたら、そんなのどうでもよくなっちゃったけど。(笑)
その後は、高校受験があったり、みんなバラバラの学校に行ったり、別の地区に引越しをしたりで、まったく聴かなくなってしまったけど、中学生の私にとって、ワクワクした冒険のひとつでした。
Jamiroquaiの「Virtual Insanity」とOff Springの「Pretty Fly」がやたら流れていた記憶があるんだけど、あらためて調べてみたらOff Springの方は、リリースはもっと後。
ほんと、記憶ってあてにならないなぁ。
というわけで、私のラジオ体験は、まだ他にもあるんだけど、今日はこの辺で。
今は、ラジオのチャンネルが固定されてるので、あまり「周波数と周波数のあいだ」という感覚すらないと思うんだけど、こういう「AとBのあいだ」とか「隙間」みたいなものは、(ラジオだけに限らず)あった方がおもしろいのになぁと、ぼんやり思う日曜の午後でした。
*
この頃、よく聴いていたMariah Carey(マライア・キャリー)のアルバム『Daydream』。
CDラジカセをループにして、最後の「Looking In」が終わったあとに、1曲目の「Fantasy」のイントロが流れて、同じキー(調)で繋がっているように聴こえるのに毎回感動してた。
私がDJmixを作る時、最後と最初が繋がるようにする癖があるのは、この原体験があるからかもしれないな。
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