2018年4月23日月曜日

《designsix LONDON》ポップアップストア at 新宿NEWoMan|ニュウマン

※こちらの記事は、HOUYHNHNMブログ『Escape by Melody《メロディによる逃走》』に掲載されていた内容です。




新宿『NEWoMan』の1階、ロンドン生まれのアクセサリー《designsix LONDON》の期間限定のポップアップストアで、DJ/ミュージックセレクターを担当します。
ロンドンでは「ヴィクトリア&アルバート博物館」や「テートモダン」など、日本国内では「原美術館」や「21世紀美術館」、「MoMA DESIGN SOTRE」などに並んでいる、トレイシー・ワトソンによるかわいらしいデザインのアクセサリーたちに囲まれて。


《designsix LONDON》のアイテムは、植物を連想させるようなものもあれば、無機質でつるんとしたものもあったり、色味も、形も、質感も、ひとつずつすべて違っていて、自分のお気に入りを見つけるのが楽しくなる。
そして、お手軽な値段なのもうれしい限り。
また、「SPRiNG」「リンネル」などのファッション誌やCMなどの広告でも活躍中の人気モデル・Kanocoさんとのコラボレーションアイテムも先行販売。



彼女のブログからも《designsix LONDON》への愛情がとてもよく伝わってきます。


私がDJを担当するのは、4月29日(日)の15時〜18時頃。
ブルーボトルコーヒーの隣のスペースで、どなたでもお立ち寄りいただけます。
ちょうど2年前に行ったロンドンへ想いを馳せつつ、アクセサリーを手に取ったときと同じように、思わず心がワクワクするような空間を演出できたらと思います。

今日、ひとつリングを買ったけど、まだまだ気になるアイテムがあるので、それはまた当日選ぼうっと。
本当に、いくつもいくつも欲しくなっちゃう。困った!:)


=========================================

『designsix LONDON』POP-UP STORE

期間:2018年4月9日(月)〜5月7日(月)
会場:NEWoMan SHINJUKU 1F/lab.


▼designsix LONDON
WEBサイト:http://www.designsix.jp
Instagram:https://www.instagram.com/designsix/
Twitter:https://twitter.com/designsix
Facebook:https://www.facebook.com/designsix

=========================================



ちなみに、京都の祇園町(八坂神社付近)には、《designsix LONDON》のスタンドカフェ&バー/コンセプトショップ《standsix/GATHER out of time》があるそう。
アイテムがあるのはもちろんのこと、店内にターンテーブルと真空管ミキサーがあるみたいで、雰囲気もとてもよさそう。
今度、京都に行くときは寄ってみよう。:)

=========================================
▼standsix/GATHER out of time
WEBサイト:http://www.gather-outoftime.jp/
Instagram:https://www.instagram.com/gatheroutoftime/
Facebook:https://www.facebook.com/gatheroutoftime

=========================================






「ロンドン」から連想する曲を選ぶには、「ロンドン」は、あまりにも有名すぎる。
ただ、単純に「ロンドン」という言葉を聞いて、真っ先に思い浮かぶのはこの曲。
歌っている女性は、ブラジル/サンパウロのシンガーソングライター・シベーリ(Cibelle)。
2006年に発売された『The Shine Of Dried Electric Leaves(邦題:デンキ仕掛ケノ枯葉) 』というアルバムに収録されています。
当時、ブラジル音楽に興味があって、このアルバムはよく聴いてたなぁ。
原曲は、彼女も(私も)尊敬する、ブラジル音楽界の巨匠、カエターノ・ヴェローゾ(Caetano Veloso)によるもの。

––––––––ロンドンをひとり歩き回る私は、何かを恐れることもなく、孤独をマイペースに楽しんでいる。それなりに幸せなことや悲しいことがある中で、私の瞳は、空飛ぶ円盤を探している...。

歌詞は、こんな感じかな。
この地に足つかない雰囲気がたまらないよね。


"London, London" video by Cibelle feat. Devendra Banhart

Caetano Veloso  - London London

2018年4月14日土曜日

アルヴィン・ルシエ、「音楽」と「言葉」の境界線

※こちらの記事は、HOUYHNHNMブログ『Escape by Melody《メロディによる逃走》』に掲載されていた内容です。




先週、アルヴィン・ルシエ(Alvin Lucier)のライブに行ってきた。
「音楽家」という言葉ひとつでは、表現しがたい彼の存在。
エヴァー・プレゼント・オーケストラ(Ever Present Orchestra)を率いてのそのパフォーマンスは、今までに体感したことのない、未知の領域そのものだった。
「前衛的」とか「反発」といった、ただ固定概念をぶっ壊すようなものではなく、すべてをひとつずつ解体し、それらを丁寧に再構築し、時間軸を超えたスピードで、ものすごくゆっくりと(厳密に言うと「ゆっくり」なはずなのに過ぎていく時間はあっという間、という不思議な感覚)私たちの目の前で繰り広げられた。
それは「表現」ではなく、「会話」であり「問いかけ」だった。
会場にいる人たちは意識を集中させ、ルシエの提示を見逃さないように、聞き逃さないように、感じ損ねないように、注意深く凝視していた。(中には目を閉じている人もいたけど)
あの時、流れていた時間こそが、私たちの『本質』であると、確信した。







私たちは、生まれてきたときは、すべてのものが「新しい」。
見るもの、聞くもの、感じるもの。
とにかく、全部が「はじめて」だから当然だ。
ただ、時間が経過とともに経験を重ねていくので、その「新しい」感覚は必然的に減っていく。
あらゆるものに、慣れていく。
そうすると、いつの間にか、あらゆるものの「境界線」が曖昧になっていき、溶け込んでいってしまう。
すべてのことが「当たり前」になってしまう。
「当たり前」のことなんて、本当は何ひとつ、ないのにね。







人間は、「分ける」生き物だ。
国も、料理も、色も、病気も、罪も、思想も、植物も、性別も、感覚も、何もかも。
物事は分けられ、整理され、それぞれに名前がついている。
それ自体が悪ではないし、整理をするために必要なのはとてもよく理解できるし、恩恵もたくさん受けているとも思う。
ただ、それに固執しすぎたり、「分けること」が目的になったり、「分けたもの」の奪い合いやそれによる争いが生まれたりするのは、まったくもって『本質』ではない。
目安として「分けたもの」が、武器になってしまうなんて。
「分けたこと」によって、誰かが不幸になってしまうなんて。
もう、本当に、心が傷むばかり。







私は、「音楽」と「言葉」には厳密な境界線はない、と感じていたことを原動力にして、このブログを始めた。
「1+1=2」というような、数学的なこととは真逆のベクトルだ。
はっきりとした答えがあったとしても、それはすぐに、消えていくかもしれない。
ただ、そこになにかしらの「ヒント」や「きっかけ」や「ひらめき」があればいいなと、毎日、毎時、毎分、毎秒、想いを馳せている。

2018年4月7日土曜日

豪徳寺近くの『バレアリック飲食店』と、インターネット・ラジオ《Hamon Radio》

※こちらの記事は、HOUYHNHNMブログ『Escape by Melody《メロディによる逃走》』に掲載されていた内容です。




嵐が過ぎ去った今日の夜は、豪徳寺そばにある『バレアリック飲食店』にてDJします。

『バレアリック飲食店』は、ごはんもお酒もスイートもほんっとうに美味しいのはもちろん、写真からもわかるように、植物がたくさんあって、雰囲気もよく、居心地がよい。
でも、おしゃれすぎて敷居が高い"あの感じ"もなく、まるで海外にいるような"あの感じ"ともまた違う。
すべてが「ちょうどいい」感じなんです。
何度も何度も行きたくなる、大好きなお店のひとつです。



『バレアリック飲食店』オーナーの快くんのインタビューはこちら


そして今回は、最近ローンチしたばかりのインターネット・ラジオ《Hamon Radio》とのコラボレーション。

現場だけでなく、YouTubeからもリアルタイムでご覧になれます。
《Hamon Radio》の情報がまとまっているTumblrはこちら


世界中へ発信するためにサイト内は英語表記が多いですが、簡単に訳すとこんな感じかな。

====================================
「Hamon Radio」は、世界中の人々が共有しコミュニケートする「第三の場所」。
「Hamon」は、日本語の「波紋」のこと。
水面は、水滴が落ちるとゆっくりと波紋が広がっていき、次第に大きな影響を受けます。
私たちは、「Hamon Radio」がこの最初の水滴のようなものになれることを願っています。
====================================

今夜は、その《Hamon Radio》のサウンド・ディレクターの二人と共に、ゆったりとした、リラックスできる空間が作れたらと思います。
そして、その空間がインターネットを通じて、世界中に広がっていくこともイメージしながら。
私たち人間が生み出したインターネットの世界は、本来、こういう風につかわれるべきよね、と、心底思う、昼下がり。

では、また後ほど。:)




▼information
––––––––––––––––––––––––––––––––

"Balearic Restaurant w/ Hamon Radio"

2018/4/7(土)
at バレアリック飲食店[豪徳寺]
START 19:00-
Entrance: FREE(店内でのご注文は別途お願いいたします)

-DJ-
Tatsuya Ouchi (Hamon Radio)
maa (Hamon Radio)
DJ Emerald

『バレアリック飲食店』より中継生放送。
YouTubeでご覧になれます。
YouTube URL:https://goo.gl/WFDpAb

Broadcast schedule (JST):
19:00 ~ : Tatsuya Ouchi
20:00 ~ : DJ Emerald
21:00 ~ : maa

2018年3月10日土曜日

西麻布Bullet’sの閉店と、私の想いと。

※こちらの記事は、HOUYHNHNMブログ『Escape by Melody《メロディによる逃走》』に掲載されていた内容です。


今から11年前の、2007年。
初代iPhoneが発売された頃。

西麻布の『Bullet’s』にはじめて訪れたのは、蓮沼執太さんなどが出演していた《CMFLG》という、delaさん主催のイヴェント。
六本木の喧騒から少し離れた地下室で、靴を脱いで、赤い絨毯やキングサイズのベッドの上で、座ったり転がったりしながら、音楽を聴いて、お酒を飲んで、友達とおしゃべりして。


バーカウンターの中にいるのは、『Bullet’s』のオーナーのHarryさん。
美人で、ユニークで、優しくて、エキゾチックで、人を惹きつけるエネルギーに満ち溢れた、とても魅力的な人。
私は、もう、一瞬で、この場所が気に入ってしまった。



2008年、私が「DJ」と無縁だった頃。
その『Bullet’s』で音楽、お芝居、ヘアメイクブースなどを取り入れながら、自分が今まで体感したことのないイヴェントを主催して、いろいろチャレンジさせてもらった。

2010年、私が手探りで「DJ」をはじめた頃。
「ソフィア・コッポラ」「バンドTシャツ」「宇多田ヒカル」「多幸感」「星座」など、コンセプチュアルなDJイベントを、思いつくままに開催させてもらった。(こう並べてみると、本当にとりとめないね。)
その中でも、ピコピコさんは、強烈過ぎる思い出のひとつ。
いわゆる私が用意したサプライズだったんだけど、自分自身も「ベッコスくん」の登場の瞬間まで、ずーっとドキドキしてた。


同じ日に出演いただいた”大人”紙芝居師の飯田華子さんも、『Bullet’s』の持つ妖艶さを、独特な雰囲気で十二分に引き出していた。

2012年、私が「ハウスミュージック」に惹かれるようになった頃。
《100%silk》というL.Aのレーベルがきっかけで聴き始めたその音楽は、自分が聴いてきた楽曲や触れてきた視覚的感覚と地つづきなのに、今までとは明らかに違った新しい世界観があって、とにかく、好きで好きで仕方がなかった。こんなことってあるんだなぁって、自分でもびっくりしたくらい。
そんな中、《100%silk》からオーストラリアのミュージシャン・Roland Tingsが来日することが決まり、そのギグを『Bullet’s』で行った。
この日がまた、私にとって最高の夜だった。





自分の好きなものだけに囲まれた「私だけの秘密の部屋」という感じがして、気持ちがものすごく高ぶっていたのを、今でも鮮明に覚えている。
あと、このイベントの前日、『eleven』で行われたDJ HARVEYと瀧見憲司さんの二人会が夢のような一夜だったこともあって、イベントの前半、ずっと二日酔いだったことも…。




たまに行く『Bullet’s』は、私にとって「非日常」そのものだった。
その「非日常」に、「日常」が混ざり合ったのは、同年、自分のイヴェント《Synthesmic》を、定期的に開催するようになってから。
「シンセサイザー(Synthesizer)」と「宇宙(Cosmic)」をテーマにした《Synthesmic》は、その名前の通りで、それ以上でも、それ以下でもない。
ただ、そのコンセプトに沿って、できることは何でもしたかった。
無重力、とまではいかなくとも、なるべく抵抗力のない、フラットな状態でありたいと、常に思っていた。

シンプルに、このコンセプトに共感してくれた出演者のみなさんと、会場に足を運んでくれたみなさんとで作り上げたのはもちろんのこと、Feldermelder、Twigs & Yarnなど、海外アーティストの来日公演として開催することもあったし、「音楽」だけに絞るつもりもなかったので、「宇宙」に関わる本を読み放題にしてみたり、「宇宙マッサージ」のプリミ恥部さんに参加していただいたり、「宇宙カレー」にごはんをお願いしてみたり。
ダンサーのMELONちゃんには、「女性」としての宇宙を表現してもらって、すごくうっとりするものだったし、年4回の季節ごとの準レギュラーだった、ほそかわゆみちゃんが所属するアヴァンギャルド・テクノ・ポップ・バンド「動く指」は、毎回、摩訶不思議で、地に足つかないとことんキュートなライブだった。
オンライン上(Soundcloud)のメッセージで、カタコトな英語で頑張ってやりとりしてた、ブルックリンから来たDJが、日本語ペラペラの日本人だったり(asyl cahierとSlyAngleの悪戯…)、悪ふざけが過ぎたYoshinori Hayashiくんは、私の新品のレコード針でスクラッチしまくり、終了時間になってもなかなか終わらないし(個人的にはずっと聴いていたいんだけど!)、多忙を極める長州ちからくんは寸前でWブックギングが発覚したり。(それでも憎めない彼の存在は最強)

《Synthesmic》のことは、書き出したら本当にキリがないけど、一夜ごと、それぞれのドラマがあって、それらすべてが愛おしい。
3年間、全部で37回、毎月続けてこれたのは、関わってくれたみなさんのおかげ。
あらためて、感謝の気持ちでいっぱいです。どうもありがとう。



これらの自分主催のイヴェントと並行して、オーナーのHarryさんは、他のイヴェントへの出演のオファーもしてくれて、たくさんの出会いを提供してくれた。
しかも、お誘いをしてくれたイヴェントすべてが、私にとって本当に実りになるものばかりだった。
その中でも、忘れられないのが2011年2月に行われた「My Bloody Valentine Night」通称「マイブラナイト」。



まだ「DJ Emerald」という名前もなく、ほぼ身内ノリのイヴェントでしかDJをしたことがなかった私に、「出てみない?」と声をかけてくれた。
緊張しながら当日を迎えて、知り合いもほとんどいない中で、自分が用意した音源を持ってDJブースに近づいていく。
私の前のDJは、くねくね体をうごかしながら、エフェクターを使いつつ、シューゲーザーの輪郭のない美しさを増幅させていって、とにかく最高にかっこよかった。
会場もすごい盛り上がっていて、「この後やりづらいなあ…」と思いつつ、準備をしていると「次の曲で渡すね」とそのDJから声がかかった。
そして、彼が最後にかけた曲が、Célineの『Un Rêve』。



私が今日、メインの曲としてかけようと思っていた曲だった。
急に頭が真っ白になってしまって、どうしようどうしようと慌てつつ、でも、私は「今日絶対この曲をかける」と心に決めていたので、ここぞ!というタイミングで、かけてみた。(4曲目くらいだったかな)
すると、「いいね〜」「何度聴いてもいいわ〜」とDJブース越しに、そのDJの彼も含め、何人かが声をかけてくれた。
その時、私の目に映った光景は、今でも昨日のことのように脳裏に焼き付いている。

私のプレイが終わった後、「DJよかったよ〜」と声をかけてくれたのは、さっきのDJ。
あなたのDJは素晴らしかったと伝えると、「ただの酔っ払いだけどね〜」と柔らかい口調で謙遜していた。かぶってしまった『Un Rêve』の話もしつつ、相変わらずくねくねしながら、また一緒にDJやりましょう、と言いながら、名前を交換。
彼の名は、hitch(ひっち)。
漫画の中から飛び出してきたような、すごく親しみのあるキャラクターの彼のおかげで、その後、すごいスピードでたくさんの人とのつながりができて、DJをする機会が増えていった。
そして、Harryさんからは、毎年バレンタイン近くになると、この「マイブラナイト」のDJオファーをいただけて、すごくうれしかった。
2013年の回は、My Bloody Valentineのドラマー、Colm O Ciosoig(コルム・オコーサク)が現れて、みんな驚いてたっけ。




私が出演するイヴェント以外のラインナップも含めて、Harryさんの、ひとつひとつのイヴェントに対しての情熱は、とにかく驚異的だなといつも感じていた。
聴いたことのない音、形容しがたい表現、他の場所では会えないような人、すべてが集まる空間が、いつもそこにあった。
2014年5月に行われた『Bullet’s』の15周年イヴェントでは、信じられないほど間近で、細野晴臣さんのライブも体感。


まさに、「日常」と「非日常」のちょうど真ん中くらい。
左うでの夢…は、教授のアルバムだけど、細野さんがギターを弾きながら歌う姿は、本当、夢のような時間だった。




私は、小さい頃からずっと、「歌」と「メロディ」と「キー(調)」と「質感」を軸に、音楽を聴いてきたように思う。
「歌」には、「言葉(歌詞)」がある。
「メロディ」と「キー(調)」には、「記号」がある。(CとかFとか。♯とか♭とか。)
ただ、「質感」には、明確な区分はない。
その曖昧さが「自分だけのもの」であり、「好み」であり、「オリジナル」であり、「センス」なんだと思う。

2012年以降、「DJ」をやりはじめるようになってからは、自分の知らない世界が徐々に見えてくるようになった。
「BPM」(テンポ)とか「ビットレート」(音質)が、数値として日常的に取り上げられていたり(今思えば、ピアノの楽譜の右上にあった「♩=120」がテンポ=BPMだったのか…)、自分が把握している「ジャンル」は、12色入りの色鉛筆のようなものだと知ったり。(「ロック」「パンク」「メタル」「クラシック」「ボサノヴァ」…)
一般的かどうかという視点で、認知度の差はあれど、数え切れないほどの「ジャンル」が存在していることが、とにかく、一番、衝撃的だった。


正直なところ、「ジャンルなんて」と思っていたこともあったし、自分だけの「質感」が「ジャンル」に取って代わられてしまうのではないか、という不安もあったけど、「ジャンル」を経由した後の音楽の聴こえ方は、明らかに、今までに体感したことのない感覚だった。
あまりいい表現ではないかもしれないけど、"心だけで聴かずに、頭も使って聴く"という感じ。
「メロディライン」や「コードの展開」ばかり聴いていた私は、「ベースライン」「リズム/ビート」の方にも、意識が向くようになった。
昔、自分が聴いていた曲をあらためて聴くと、「あれ、バランス悪くない?」とツッコミをいれたくなるようなものもあったりした。
一方で、全体の雰囲気として好きだった曲なんかは、粒度が前よりも細かく聴こえるようになったために、心と頭のバランスが上手にとれなくなることもあった。

「見える景色」は広く、深く、拡張していったことは間違いないのだけど、以前の「狭さ」「浅さ」も気に入っていた自分がいることに気がついてしまって、「ピュアだった頃には、もう戻れないんだ...」という悲しみが大きくなりすぎたこともあった。(なんて繊細な私なんでしょう)
あらためて、今思うと、このバランスがとれた「DJ」こそが、私の理想なんだと思う。




『Bullet’s』は、私にとって、あの頃のピュアな気持ちに戻れる場所。
そして、今の私が「見える景色」を自由に行き来しながら音楽を聴くことができるのは、『Bullet’s』があったから。
もし、『Bullet’s』がなかったら、「DJ Emerald」は存在しなかった。
「DJ Emerald」が存在しなかったら、今、私の周りにいる人たちには、出会えなかった。
それが「必然」だろうが「偶然」だろうが、正直なところ、どっちでもいい。
ただただ、今の自分を包み込む「すべて」が"存在しない状態"は、とてもじゃないけど考えられない。
本当に大切なものは、お金で買えたり、数字で見えたりするものじゃないな、とあらためて感じる。


そんな、私の生みの親のような『Bullet’s』が、2018年3月31日をもって閉店ということで、今までの「すべて」に、感謝の気持ちを込めて、3月29日の木曜日、『Bullet’s』で《Synthesmic》を開催します。



Sputniko!(スプツニ子)さんは、東京ではじめてライブをしたのが『Bullet’s』だったようで、Instagramで、彼女の想いのこもったポストを投稿していました。


"私の青春がなくなっちゃうみたい"な感覚は、私もまったく同じ。
そして、"私の大事な思い出はなくならない"のも、まったく、同じ。
彼女は、『Bullet’s』の本当の最終日、3月31日(土)のラストパーティ《BULLET’S FINAL __ DAY❷》に出演する。
他にも、宇川直宏さん、小林径さん、HiBiKi MaMeShiBaさんなど、豪華かつ『Bullet's』にゆかりのある出演者ばかりで楽しみ。



当日は、「歌」も「メロディ」も「キー(調)」も「質感」も「BPM」も「ビットレート」も「ジャンル」も、すべて取っ払って、たったひとつの「想い」だけで、DJをしたいと思います。
最後の『Bullet’s』、最後の《Synthesmic》で、お逢いできたらうれしいです。


▼Infomation
––––––––––––––––––––––––––––––––

"Synthesmic #38"

2018/3/29(木)
at Bullet’s [西麻布]
OPEN/START 19:00-
Entrance: 1500yen
宇宙の本読み放題 / All you can read cosmic books

-LIVE-
ELLEH

-DJ-
pAradice [LIFE FORCE]
Kotsu [CYK]
Wataru Sakuraba
DJ Emerald

-紙芝居-
matocotoshuco


/./././././././././././././././

Synthesizer × Cosmic = Synthesmic

/./././././././././././././././


Synthesmic :::
https://synthesmic.tumblr.com/

Photo Archive :::
https://synthesmic-photoz.tumblr.com/
https://www.instagram.com/explore/tags/synthesmic/

Bullet’s :::
http://bul-lets.com/





2018年2月17日土曜日

秩序ある混沌 [chaotic order] の中で

※こちらの記事は、HOUYHNHNMブログ『Escape by Melody《メロディによる逃走》』に掲載されていた内容です。


秩序ある混沌 [chaotic order] の中で、今夜も、心を揺らします。
アンビエンス、サイケデリア、白昼夢。
私は、深夜の1時40分から。
フォース・アクセルならぬ、最大4曲同時再生を狙います。

踊る/踊らない、の争点に違和感はあるけど、世界中が注目した、氷の上でのパフォーマンスに感動するのと同じように、人は、いつの時代も、「感じること」を避けては通れない。
なぜなら、「感じること」が、生きることだから。

“誰か”が作ったものに囲まれている現代だからこそ、
内包されているものと向き合い続けることを忘れないように。
それを問われているのが、2000年代以降なんだろうなと、思う今日この頃。

心の奥の、ものすごく奥の方で、感じることができる空間へ。
今夜、神宮前の《Bar bonobo》でお待ちしております。

*ちなみに「秩序ある混沌」は、ノーベル物理学賞の江崎玲於奈さんの言葉です。



▼Infomation
––––––––––––––––––––––––––––––––

L.F.

2018/2/17 sat at bar bonobo[原宿/神宮前]
START: 22:00
CHARGE: 1,500yen(with 1drink)

-MAIN FLOOR DJ-
Kaoru Inoue (SEEDS AND GROUND)
Sisi (Rainbow Disco Club / Timothy Really / mule musiq)
ichiya (DecaDance)
Wataru Sakuraba
haraguchic (FreedomSunset)

-2ND FLOOR DJ-
maa (Hamon Radio)
DJ Emerald
Tatsuya Ouchi (Friday Lounge)
OKAYAMA (oshiga club)
Shun Horiki

––––––––––––––––––––––––––––––––


2018年2月10日土曜日

「3番目の金曜日」に、会いましょう。|《Friday Lounge -The third Monday of the month-》at Café Apres-midi

※こちらの記事は、HOUYHNHNMブログ『Escape by Melody《メロディによる逃走》』に掲載されていた内容です。


今年も、個人的な「目標」がいくつかある。

「目標」なんていうとなんだか大袈裟で、「毎日」だったり、「毎月」だったり、「この1年で」っていうのもあれば、「そのうち」とか「いつかは」みたいなものもある。
期限をちゃんと設けてないものもあるから、去年から持ち越してるものも、まあまあある。
そんなの目標とは言わない!と思う人もいるかもしれないけど、それ以外にピンとくる言葉が見当たらない。
なんだろうなぁ、「メモ」よりは少し大切で、「夢」よりは少し現実的。そんな感じ。

そんな、今年の目標のうちの、ひとつ。
目標、というよりは、決めたこと。
それは、今年の「3番目の金曜日」の《Friday Lounge》のプロデュース。

《Friday Lounge》は、渋谷にある「カフェ・アプレミディ」で、毎週金曜日に週替わりでレギュラーDJが毎回ゲストを呼んで、良質な音楽を届ける「空間」。
イベント、とか、パーティ、という言葉は、あまり似合わない。
「Lounge=ラウンジ」は、「休憩室」「社交室」という意味を持つけど、それとも違う。
シャープな部分はありつつも、もっとこう、柔らかくて、あたたかい「空間」。
だいたい「○○室」という言葉自体が、堅苦しいよね。

もともと「3番目の金曜日」の《Friday Lounge》は、International Gallery BEAMSのmaaくんが担当していて、今年はそこに、私とWataru Sakurabaくんが参加する形に。
太陽の光が水面で揺らめきながら反射しているように、すべてのことを、あらゆる方向へ、拡張できたらいいな。

2月の「3番目の金曜日」は、16日。
今回お招きしたゲストは、このおふたり。

まず、世界中から人が集まる日本の野外/オープンエアーパーティ『rural』の主催であり、昨年は日本だけでなく、ロサンゼルスのNTS Radioや、フランスのRinse FMにも出演した、Naoちゃん。
この「3番目の金曜日」のお話をいただいたときに、一番最初に思い浮かんだのが、彼女だった。
テクノや硬めの音のイメージが強い彼女が、どのようなプレイをするのかがとても興味深い。



そして、先日の代官山UNIT/SALOONの「FRUE -Deep into “New” South America-」も大好評だった『SUBMARINE RECORDS』主催のNOGAWAくん。
深海で行なわれているダンスパーティのような”抜け感”のあるパーティメイクは、その手段も、センスも、もちろん音も、すべて抜かりない。
気がついたら「あれ?ここ、どこだっけ?」という具合に、まわりの景色が変わってる感じ。
まるで、眠りに落ちるみたいに、あたたかく、心地よく、人魚たちが舞う海の底へ連れて行ってくれる。





今年の「3番目の金曜日」は、ちょっと特別に。
まずは、2月16日にお会いいたしましょう。
心より、お待ちしております。(;



▼Infomation
––––––––––––––––––––––––––––––––

Friday Lounge

2018/2/16 fri at Café Apres-midi >>> map
OPEN / START 20:30
CHARGE: FREE

Guest DJ:
Nao [rural/LIVING ROOM]
NOGAWA [SUBMARINE]

DJ:
maa [Hamon Radio]
DJ Emerald
Toru Hashimoto [SUBURBIA]

––––––––––––––––––––––––––––––––

この日は、「クラブ」「ダンスフロア」といった場所とは異なる空間でのアプローチが楽しみなおふたり、Nao [rural/LIVING ROOM]と、NOGAWA [SUBMARINE]を迎えて。
歴史を感じさせる上質で味わい深い音楽から、地下(=アンダーグラウンド)の中だけで広がりを見せる「特異点」とも言える音楽まで。
第3金曜日の夜の海へ、どうぞ気の向くままに泳ぎにいらしてください。



《Friday Lounge -The third Monday of the month-》
2018年の毎月第3金曜日は、渋谷と原宿のちょうどあいだに位置するビルの5階「Café Apres-midi」にて、maa、Wataru Sakuraba、DJ Emeraldの3人のDJによる「Friday Lounge」を開催しております。



2018年1月29日月曜日

東京都庭園美術館『装飾は流転する』

※こちらの記事は、HOUYHNHNMブログ『Escape by Melody《メロディによる逃走》』に掲載されていた内容です。


白金台にある「東京都庭園美術館」へ。
いわゆる「美術館」とは少し趣の違う朝香宮夫妻(皇族の一家)の邸宅だったこの建物は、それ自体がすでに、ひとつの美術品のよう。
こだわり抜かれた美意識が、細部の細部まで散りばめられていて、毎回行くたびにうっとりして、何度も何度もため息をついてしまう。(はぁ・・・!)


今回は「装飾」を軸にして、多種多様なアーティストが集合する「装飾は流転する」という展示。
こういったコンセプトをメインにおいた展示は、出会わないものたちが出会う「偶然性」が、作品と作品のあいだの空気を埋めて尽くしていて、心がどうしようもなくワクワクする。

行き過ぎた「装飾」から、目を凝らさないと気がつかない「装飾」、
再編集/サンプリングされた「装飾」、日常の延長線上にある「装飾」まで。
どの作品も共通しているのは、触りたくなる「質感」と、覗き込みたくなる「繊細さ」。


その中でも印象的だったのは、コア・ポア(Kour Pour)というアーティスト。







絨毯の修復職人だったイラン系イギリス人の父親からインスピレーションを受け、ペルシャ絨毯の柄をベースに、独自の感性をキャンバスに重ね合わせていくそのスタイルは、唯一無二。
絨毯の歪みまで再現していて、遠目に見るとそれが絵だとは分からなかった。
近づいていってよーく見ると、愛嬌のある絵のタッチと色合いがとても印象的で、思わず頬が緩んでしまうものも。
ヒップホップとの出会いがひとつのターニングポイントだと分かる、彼のドキュメンタリー映像もとても興味深かった。
それぞれの作品が、一曲ずつ楽曲になったらどんな風になるんだろうなぁ。(妄想)



コア・ポアの作品は、そのほとんどが「新館」の方に展示されていたのだけれど、シックな庭園美術館の本館には、それぞれの質感が美しく混ざり合う、ヴィム・デルヴォワ、ニンケ・コスター、髙田安規子・政子などの作品。
そして、それらに相反するかのように、山縣良和の作品が違和感を醸し出して、それぞれの魅力を引き出す。

ヴィム・デルヴォワ

ニンケ・コスター

髙田安規子・政子

山縣良和


彼らの試みを見る時、
私たちは装飾という行為が、
生々しい現実を複雑なまま認識するために必要な切り札だということに気がつくのです。
––––––––––––– 東京都庭園美術館 オフィシャルサイトより


この「生々しい現実を複雑なまま認識する」感覚は、この展示に訪れる数日前に観た映画「ブレードランナー 2049」で、強烈に感じたところだった。
また、この情報過多な現代に対して・・・"対して"じゃないな、現代"の中で"、日々抱いている感覚でもあった。
庭園美術館を出た瞬間、私の中で、それらの「混沌」「混乱」の歯車が、ゆっくりと回り出した。


「いびつにしたい」とも思うし、
「きれいに納めたい」とも思う。
それが、人間の本能なんだろうな、と思う。




「本館」と「新館」をつなぐ通路からの景色。
澄んだ空気の中で、月が美しく浮かぶ夜。
明けて次の日、東京では4年ぶりの大雪。







2014年から2016年に制作された、スコットランドのHugh Smallによるピアノ・ソロ曲集『Piano Music』は、深深とした空気にぴったりの作品。

HUGH SMALL - Mission Statement

彼は、女性シンガーのAnna Howsonとニュー・ウェイブ色の強いデュオ「Vazz」としても活動をしており、最近、ベルギーのレーベル《STROOM 〰》から『Submerged Vessels And Other Stories』をリリースしており、そのボーナスCD付属として、この『Piano Music』がついてくる。
本編の『Submerged Vessels And Other Stories』は、バンドサウンドの楽曲と、ピアノソロの楽曲が入り混じった構成になっている。
この、「ん?」とちょっと振り返りたくなる存在が、たまらなく好き。

VAZZ - Mezquita


VAZZ - Pearls Dub