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2019年4月29日月曜日

「あいだの季節」に身を委ねて/Light in the Attic RecordsよりJack Sills来日

※こちらの記事は、HOUYHNHNMブログ『Escape by Melody《メロディによる逃走》』に掲載されていた内容です。


あったかくなったなぁと思えば、急に肌寒くなったりする。
この不安定な季節の変わり目は、なんだか落ち着かなくて、少しそわそわしてしまう。
着るものに悩んだり、とか、温度差にからだが馴染まなくて物理的に調整が大変だ、とか、そういうこともあるんだけど、外に出てさらに気がつくことは、この「あいだの季節」は、一年の中で最も「色の情報」が多いということ。
春が桜、夏が太陽、秋は紅葉で、冬が雪、というと極端だけど、今の時期のような「あいだの季節」は、前後の季節の色が混ざり合って、それぞれが見え隠れしている。
故に、私たちはそわそわせずにいられない。
過去を少し振り返り、未来に少し期待をし、現在を少し見つめ直してみる。
タイムスリップってこんな感じなのかも。


そんな「あいだの季節」にぴったりな音楽に、今日、出会えた悦び。
読書のBGMなんかにもよさそう。
こういうのをひたすら爆音で聴けるイベントとかあったら最高だなぁ...。

The Caretaker's An Empty Bliss Beyond This World

・・と、とろけそうになる意識を取り戻して。


日が変わり本日、4月29日(月)は、下北沢駅の高架下にあるユニークなスペース「下北沢ケージ」に併設するアジアンレストラン「ロンヴァクアン」にて、《dublab.jp》メンバーみんなでグッドミュージックをお届けします。
また、細野晴臣のリイシューや日本の環境音楽のコンピなどをリリースしているシアトルのレーベル《Light in the Attic Records》のJack Sills(from L.A.)が、急遽DJで参加(!)することになりました。






オールラウンダーな彼のDJmixは、どれも程よい温度&湿度ですごく居心地がよいです。
David ByrneがプロデュースしたニューウェーブのバンドB-52’S、「シェルブールの雨傘」などで有名なMichel Legrand、かと思えば、近年再評価がされている清水靖晃、阿川泰子、そして、沖縄民謡のような曲から、堂島孝平(!)まで、ジャンルも国境も越えた音楽への愛情の深さがひしひしと伝わってきます。
上記以外にもジャズ、ブルース、フォークなどなど、本当にあらゆるジャンルの「古き良き」をぎゅっと閉じ込めた宝箱のようなMixばかり。
気に入ったらあれもこれも手を出してしまうタイプなんだろうなぁ。


ちなみに、清水靖晃さんのインタヴューを、《dublab.jp》のボス、原雅明さんがしている記事を偶然に発見。

いまはiPhoneに全部詰めて、シャッフルにして聴いてます。そこにはサブちゃん(北島三郎)からジョン・ケージまで入っていて、そうすると間がいいときはすごく気持ちがいいんです(笑)

清水さんの音楽の聴き方にあらためて共感...。これって、近代の産物だよね。



ちなみに《dublab.jp》メンバーは、みんなそれぞれカラーが違う人ばかりなので、今日のイヴェントは、ずっと「あいだの季節」っぽいかもしれない。
そして、ずっとiPhoneのシャッフルしているような感じかもしれない。

どうぞ、少しそわそわしながらお越しくださいね。
「TOKYO BOOK PARK Vol.6」も同時開催中です。
あなたの運命を変えてしまう奇跡の一冊に、出会えるかも。




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▼Infomation
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#BACKGROUNDMUSICCLUB
supported by dublab.jp @ Shimokitazawa Cage / LỒNG VÀ QUÁN

日時:2019年4月29日(祝・月) 15:00-22:00
会場:下北沢ケージ&ロンヴァクアン http://s-cage.com/
東京都世田谷区北沢2-6-2 京王井の頭線高架下
※当日のストリーミング放送はありません
※ロンヴァクアンは通常営業のため、1オーダー制となります。

Labrat DJs:
g05k, AZZURRO, Agata, Yuki Tamai, Takahiro Saito, DJ Emerald, DJ Funnel, Toru Hashimoto, Masaaki Hara, K-OGEE, Hi-Ray(出演順)

https://dublab.jp/2019/04/backgroundmusicclub-2/



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同時開催中
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「TOKYO BOOK PARK Vol.6」

☆日時
2019年4月27日(土)12:00〜20:00
_______28日(日)11:00〜20:00
_______29日(月・祝)11:00〜19:00

☆参加店
にわとり文庫/文紀堂書店/古書明日/丸三文庫/古書サンカクヤマ/クラリスブックス/マグニフ/スノウショベリング/BOOKS 青いカバ/尾花屋/古書フローベルグ/カタリ文庫/東京くりから堂/一角文庫/リズム&ブックス/nano/heureux/T3-TOYS/雑貨屋ミッテ/SLOPE

☆ゲストブース
◎ステレオテニス ◎テンテンコ ◎しまおまほ






2019年4月13日土曜日

《Meakusma x dublab.jp》、好きなことを徹底的にやること。

※こちらの記事は、HOUYHNHNMブログ『Escape by Melody《メロディによる逃走》』に掲載されていた内容です。


忙しない日常の中から見えるものもあるし、
しっかり立ち止まることで見えるものもある。

アイディアは、時間があればあるだけ生まれるわけじゃないし、
かといって、予定をぎゅうぎゅうに入れすぎると息がつまってしまう。(私はね)
そのあいだの「バランス」を上手にとることが大切だなぁと、最近かなりダイレクトに感じています。
できるなら、自分の「好きなこと」を見つけて、それに向き合っていくことができる人生がいいよね。

そんな、自分たちの「好き」を凝縮させた、ベルギーのインディペンデント音楽レーベル《Meakusma》(ミアクスマ)の主催のふたり(Michael KreitzとChristophe Houyon)が初来日するということで、東京公演のサポートを《dublab.jp》でします。

まず、私も大好きな、彼らの2年前のDJmix。




 “エクスペリメンタル”っていう言葉ひとつで括られるカテゴライズも、個人的にはそろそろアップデートしたいと思ってるんだけど、こういう予想のつかない、区切りのない、でも輪郭はあって、自由自在で、信念のある、形あるもの(音楽は形、とは言えないかもしれないけど)は、やっぱり私にとってものすごく魅力的です。

そして、彼らは地元のベルギーで自分たちの情熱を注ぎ込んだフェスティバルも開催しており、選び抜かれたアーティストが出演しています。
「非対立的な観点に立ち、繊細さと奥深さを目指すこと」をモットーにしているだけあって、なんともしびれるメンツ。ドイツの《dublab》も参加しています。

Tashi Wada with Yoshi Wada and Friends - Fanfare

Eli Keszler (live)

Kali Malone - Organ Dirges 2016-2017 [Ascetic House]

Miho Hatori | Recycle Dat Shit (Improv) | The Blue Room


そんなミアクスマの空気を、たっぷりお届けできたらと思います。
下北沢駅の高架下にあるアジアンレストラン「ロンヴァクアン」にて、リラックスした時間をお過ごしください。
エントランスフリーでこんな機会、めったにないよ◎

ちなみに土曜日の今夜は《EM Records》と共同主催の大阪公演。
ああ、行きたい。
そして、ベルギーにも行きたい。
関係ないけど、ヴェネチアにも行きたいし、ギリシャにもエジプトにも行きたい。



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▼Infomation
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Meakusma X dublab.jp @ Shimokitazawa Cage / LỒNG VÀ QUÁN

日時:2019年4月16日(火) 20:00-23:00
会場:下北沢ケージ&ロンヴァクアン http://s-cage.com/
※当日のストリーミング放送はありません。
※ロンヴァクアンは通常営業のため、1オーダー制となります。

Guest DJ:The Meakusma Soundsystem (Michael Kreitz & Christophe Houyon)
Live:Ultrafog
Labrat DJs:DJ Emerald, Hi-Ray
Design:Kotsu(CYK/UNTITLED)


4月16日は、下北沢ケージ&ロンヴァクアンにてベルギーのレーベルMeakusmaとコラボレーション。
当日は、良質なエレクトロニック・ミュージックのリリースとフェスの開催で知られる同レーベルのMichael KreitzとChristophe Houyonが登場。LAのレーベルMotion Wardなどからのリリースで知られるUltrafogがライブを披露し、Labrat DJのDJ EmeraldとHi-Rayがサポートします。
当日の配信はありませんので、貴重なDJセットを、ロンヴァクアンのアジア料理+お酒とともにお楽しみください。

https://dublab.jp/2019/04/dublab-jp-meakusma-shimokitazawa-cage-long-va-quan/



2019年3月19日火曜日

《In Every Second Dream》on dublab.jp、ラジオより愛を込めて。

※こちらの記事は、HOUYHNHNMブログ『Escape by Melody《メロディによる逃走》』に掲載されていた内容です。



今月から、ラジオ番組をはじめることになりました。
番組名は、「In Every Second Dream」。
声に出した時のなめらかな響きが、とても気に入っています。
意味は、”毎秒の夢の中で”のつもりですが、英語の”Second”には「秒」だけでなく「2番目の」という意味もあるので、”いつも見る、2番目の夢の中で”、でもいいかもなぁと思ったり。
その曖昧さや揺らぎ具合も相まって、この名前しかないなと確信しました。
だって私たちが使っている「言葉」ってやつは、所詮、「物事を測るための目安のひとつ」なんだもの。

そんな実体のない「言葉」を頼りにしながらお送りするこの番組。
毎回、ひとつの「テーマ」に沿って、音楽やそれにまつわるエピソードを中心に、ゲストの方もお招きしながら、自由にやっていこうと思っています。
ひとつのジャンルに特化して《縦に突き刺して》掘り下げていく、というよりは、
連想ゲームのように《横に突き刺して》どんどん幅を広げていくイメージです。


中身についてはこれくらいにして、次は聴ける「場所」についてご紹介します。
このラジオは、インターネット環境にあれば、世界中、どなたでも聴いていただける「ネットラジオ」です。
日本で有名なところだと「radiko」がありますが、同じような要領で、「Mixlr」(ミキセラ)というアプリケーションを使います。
チャンネル名は《dublab.jp》、ダブラブ・ドット・ジェイピー、と読みます。
サイトに直接アクセスしていただいてもいいですし、アプリをダウンロードしていただいてもOK。もちろん無料です。


■Mixlr(ミキセラ)

▽サイト:
http://mixlr.com/dublabjp/

▽スマートフォンアプリ(MacOS):
https://apps.apple.com/jp/app/mixlr-social-live-audio/id583705714

▽スマートフォンアプリ(Android):
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.mixlr.android&hl=ja


では次に、《dublab.jp》について、ご紹介します。
《dublab.jp》は、ロサンゼルスの非営利ネットラジオ《dublab》の、日本ブランチです。
本家の《dublab》は1999年に設立し、音楽だけではなく、アート、カルチャーを広めることを目的とする非営利団体として、アート展、フィルム・プロジェクト、イヴェント・プロデュース、レコード・リリースも手がけています。
そして、日本ブランチの《dublab.jp》が設立されたのは2012年。
東京の活動を中心として、大阪、札幌など、様々な場所での出張放送や、イヴェント、エキシビションなどを行なっています。


■dublab.jp(日本/東京|JAPAN/TOKYO)
Web:https://dublab.jp/
Instagram:https://www.instagram.com/dublabjp/
Twitter:https://twitter.com/dublabjp
Facebook:https://www.facebook.com/dublab.jp/


■dublab(アメリカ/ロサンゼルス|USA/L.A.)
Web:https://www.dublab.com
Instagram:https://www.instagram.com/dublab/
Twitter:https://twitter.com/dublab
Facebook:https://www.facebook.com/dublab
※最近、デザインが一新してかなりかっこいい。


また、ロサンゼルスと東京だけでなく、ベルリンと、バルセロナにも拠点があります。
両方とも行ったことある国だけど、また行きたいなぁ。


■dublab.de(ドイツ/ベルリン|GERMANY/Berlin)
Web:https://dublab.de
Instagram:https://www.instagram.com/dublab.de/
Twitter:https://twitter.com/dublabde
Facebook:https://www.facebook.com/dublab.de/


■dublab.es(スペイン/バルセロナ|SPAIN/Barcelona)
Web:https://dublab.es/
Instagram:https://www.instagram.com/dublab.es/
Twitter:https://twitter.com/dublabes
Facebook:https://www.facebook.com/dublabes/


ちなみに《dublab.jp》では、2017年の11月にゲストDJとして出演させていただいたことがあります。その時の記事はこちらからどうぞ。



というわけで、初回放送日は明日、3月20日の20時半からです。
今回のテーマは『月』です。
みなさんなりの『月』をイマジネーションしながら聴いていただけるとうれしいです。
また、放送中は、Twitterも随時更新しますので、一緒にチェックしてみてくださいね。


ではでは、また明日!
桑原茂一さん風に言えば、乗船、お待ちしております◎




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▼Infomation
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dublab.jp Radio Collective #195 “In Every Second Dream” @ Tokyo

日時:2019年3月20日(水曜日)20:30〜22:00
labrat DJ : DJ Emerald
Guest : 門脇健路(イメージフォーラム)
Design : Shinya Sato


3月20日の放送は、新たにスタートするDJ Emeraldによる番組『In Every Second Dream』の第1回目。
毎回、ひとつの「テーマ」に沿って、音楽やそれにまつわるエピソードを中心にお送りします。
今回のテーマは、『月(The Moon)』。
渋谷にある映画館「シアター・イメージフォーラム」より門脇健路さんをゲストに迎え、映画という切り口でお話しいただくコーナーもあります。最後までどうぞお楽しみください。

https://dublab.jp/2019/03/radio-collective-in-every-second-dream-01/




2019年3月17日日曜日

ラジオと私と、そのあいだに。

※こちらの記事は、HOUYHNHNMブログ『Escape by Melody《メロディによる逃走》』に掲載されていた内容です。


昔から、ラジオが好きでした。
小学校の卒業文集に書いた私の将来の夢は、とりあえず「ラジオ関係のお仕事」でした。(具体的になんなのかは、なにもイメージが湧いていなかったけど)
中学生のときには、オールナイトニッポンに電話で出演して、クイズに正解して賞金までもらいました。
オールナイトニッポン以外にも、AM/FM問わずにあれこれ送ったFAX(当時の主流)は、ほとんどの確率で読まれました。(テレフォンカードがお礼に送られてくるケースが多かった)

ある日、当時のTOKYO FM(80.0)とJ-WAVE FM(81.3)の周波数のあいだに、新聞には載っていないラジオのチャンネル(周波数)を見つけました。
放送日は不定期で、だいたい20〜21時くらいから24時くらいまで。
日本国内外問わず、最新のポップス全般がフルで流れており、曲と曲のあいだに時折、「こちらは◯◯FMです。番組へのFAXは03-XXXX-XXXXまでどうぞ」という低めの男性の声がはさまり、ただ、実際にFAXらしいものが読まれていることはありませんでした。

そこで私は、すぐにFAXを送ってコンタクト。
するとその男性は、私の送ったFAXを、タイムリーに読んでくれました。
それから放送を確認できた日は必ず、FAXを送るようになりました。
(毎日のように、私は何を書いて送っていたんだろう。まったく思い出せない!)

ひとりでそんなことをやっていてもおもしろくないので、学校の友達にこの謎のラジオ局の存在を広めていきました。
すると、私の家から少し遠いところに住む友達は、そのラジオが聞こえないことがわかり、決められた範囲にしか届かない、一般の人がやってるラジオなんだと、すぐに想像ができました。(たぶん、ダメなやつ)
そのうち、友達も次々とFAXを送るようになり、いつの間にかそのラジオは、私たちの「溜まり場」のようになっていました。
中学生の私たちには、まだインターネットも携帯電話も普及していなかったので、この実体のあるようなないような「溜まり場」は、ものすごく魅力的でした。
学校、家、カラオケ、ゲームセンター(プリクラ全盛期)・・・。
友達と会える場所はそれくらいだったけど、そこに「ラジオ」が加わることは、とにかく不思議な感覚でうれしかったし、ラジオの主の男性も、こんなにFAXが来たことはかつてなかったのか、毎回全部、うれしそうに読んでくれていました。

それから数ヶ月して、そのラジオ局で、友達と一緒に、1日限りのラジオパーソナリティをやることになりました。
ある晴れた日曜日の昼間、ラジオの主の男性から教えてもらった住所の通りに向かうと、そこは私の家から歩いて5分ほどで、しかも、6年間通っていた小学校の通学路の途中にある、見慣れたアパートでした。

女子中学生が3人で「こんにちは!はじめましてー!」と、無邪気に見知らぬ男性の一人暮らしのアパートに行くなんて、今だとちょっと考えられないかもしれない、と思いつつ、いや、今の女子中学生もこういう好奇心みたいなものはあまり変わらないのかもしれない、とも思いつつ、ただ、さすがに当時「1人はまずいな」とは思っていたことを思い出したり。

私たち3人が入って全員が身動きがとれなくなるくらいのワンルームの部屋には、ひとつのマイクと、そんなに大掛かりではない機材のようなものが用意されており、それらを囲んで、とにかく好き勝手にやらせてもらいました。
4〜5時間くらい放送させてもらったと思うんだけど、ほんと、何をあんなに話してたんだろう。
結局、FAXを送ってくるのは地元の友達だけ、という「溜まり場」状態は変わらずで、でも「聴いている側」から「聴いてもらう側」になる感覚は、少し変な感じがしたっけ。まぁ、放送が始まって30分もしたら、そんなのどうでもよくなっちゃったけど。(笑)

その後は、高校受験があったり、みんなバラバラの学校に行ったり、別の地区に引越しをしたりで、まったく聴かなくなってしまったけど、中学生の私にとって、ワクワクした冒険のひとつでした。
Jamiroquaiの「Virtual Insanity」とOff Springの「Pretty Fly」がやたら流れていた記憶があるんだけど、あらためて調べてみたらOff Springの方は、リリースはもっと後。
ほんと、記憶ってあてにならないなぁ。

というわけで、私のラジオ体験は、まだ他にもあるんだけど、今日はこの辺で。


今は、ラジオのチャンネルが固定されてるので、あまり「周波数と周波数のあいだ」という感覚すらないと思うんだけど、こういう「AとBのあいだ」とか「隙間」みたいなものは、(ラジオだけに限らず)あった方がおもしろいのになぁと、ぼんやり思う日曜の午後でした。




この頃、よく聴いていたMariah Carey(マライア・キャリー)のアルバム『Daydream』。
CDラジカセをループにして、最後の「Looking In」が終わったあとに、1曲目の「Fantasy」のイントロが流れて、同じキー(調)で繋がっているように聴こえるのに毎回感動してた。
私がDJmixを作る時、最後と最初が繋がるようにする癖があるのは、この原体験があるからかもしれないな。






2019年2月9日土曜日

世界最古のオーケストラ「雅楽」の生演奏を聴いて、想うこと

※こちらの記事は、HOUYHNHNMブログ『Escape by Melody《メロディによる逃走》』に掲載されていた内容です。


先日、世界最古のオーケストラ、とも言われている、日本の誇る伝統音楽「雅楽」の生演奏を聴きに行きました。
前半は演奏のみの「管弦」(かんげん)、後半は音にあわせて踊る「舞楽」(ぶがく)という構成でした。



太鼓(たいこ)、箏(こと)あたりはイメージつくけれど、琵琶(びわ)、笙(しょう)、篳篥(ひちりき)・・となってくると、どんな音が出るのかもパッと出てこないような、聞き慣れない楽器たち。
それらを操る、色鮮やかな橙色が印象的な和服(装束、と言うのかな)を着た演奏者は、全部で15〜16名ほど。
彼らは「東京楽所」(とうきょうがくそ)という、式典などの正式な場面で雅楽だけではなく、芸術音楽としての雅楽を広めるために結成された団体。
みんな背筋がピンと伸びていて、見ているこちらも思わず姿勢を正す。
「代表の演奏者(オーケストラでいうと指揮者の役割の人)がお辞儀をしたら、そこが拍手をするタイミングです」と、司会の方が教えてくれた後、演奏がスタート。

笙は、17本の細い竹管がひとつにまとまっていて、上へ向かって、一度に複数の音が出る。
その音色は、例えるならハーモニカのような少し艶のある高音域で、その音が鳴った瞬間、空間が一気に華やかになる。(厳密には、ハーモニカよりもっと丸みのあるあたたかい音だけど)
篳篥は、バンドで言ったらボーカルの役目で、しっかりとメロディを担い、琵琶は、弦を一気に弾いてひとつの区切りを表現したり、ポイントでベースラインをなぞったり。

空に浮かぶいろいろな形の雲が横に流れていくように、それぞれの楽器の音色が、時に勢いよく、時にレイヤーのように重なりあいながら、聴き手を包み込んでいく。
そして徐々に同じ音階になっていき(ユニゾン)、気がつけば、まるで目の前に一本の大きな樹木がそびえ立つような、圧倒的な存在感を醸し出している。
かと思えば、ゆっくりと音の輪郭が薄れていき、宇宙へ放り出されたかのような静寂の海へ向かう。
ひとつずつ、ひとつずつ、丁寧に紡がれていく演奏中の中にある「間」(ま)すらも、目に見えない「ひとつの楽器」のようでした。


840年頃から行われた「楽制改革」では、約400年間、あらゆる国の「音楽」と「楽器」を輸入してきて情報過多になり、煩雑化していた雅楽を整理するために、他国からの輸入を止めたそうです。
その期間、約半世紀。(!)
混沌とした当時の音楽シーンを、「ジャンル」「楽器」「理論(和音など)」などの軸でそれぞれ整えていったことは、雅楽にとって非常に重要な転機のひとつだったことは間違いありません。

平安時代に「情報過多」になっていたなんてちょっと意外だけど、今とは比べものにならないことは、容易に想像ができます。
ラジオやテレビがめずらかった時代はとうに過ぎ、リビングだけにあったテレビは個人の部屋にも普及し、それらはパソコンへ姿を変え、さらには片手で持ち歩けるスマートフォンへと進化。
インターネットには「終わり」という概念すらなく、24時間いつでもアクセス可能になりました。
情報があることは悪ではないんだけど、情報を「選別/判別する力」をきちんと持つこと、
そして、情報に辿り着くまでの「イマジネーション」を怠らないこと。
このふたつを、右手と左手にそれぞれ握りしめていることが、とても大切なんじゃないかと思います。
特に今年は、それが顕著になってくる気がするなぁ。

常にすべての情報に接続している必要はないし、ありとあらゆるものをすべて区別する必要もない。
当然のことだけど差別をする必要もないし、ましてや国境に壁をつくる必要なんてない。

なのに、無意識に受け取った大量の情報が、そのまま自分自身の思考や感情だと思い込んでいたり、
区別や差別をすることで自分の存在価値を見出したり、壁をつくって今の自分の居場所を確認していたり、
どんどん貧弱になっていくこの世の中を、感じずにはいられないのが現実です。

ただ、雅楽の演奏を聴いていると、直感的に、思うのです。

私たちが生きている「今」や、私たちに見えている「今」は、
長い歴史の中では、ほんの「一瞬」でしかない、ということを。
その「一瞬」が無数につながって、「時代」ができているということを。
そして、その「一瞬」をどうやって過ごすかは、「自分次第」ということを。


今回、機会をくれた三浦元則氏に、感謝の気持ちを込めて。



東京楽所第12回定期公演 奉祝の雅楽

▼日時
2019年2月2日(土) 14:00 開演
▼会場
サントリーホール(大ホール)
▼出演
雅楽、舞楽:東京楽所
▼曲目
平調音取
催馬楽「伊勢海」
越天楽残楽三返
左舞 萬歳楽
右舞 延喜楽







坂本龍一さんの2017年のアルバム「async」に収録されている「Life, Life」の中に笙の音が聴こえたのは気のせいじゃなかった。;)


2018年9月17日月曜日

9月の私は、Twin Peaksと、Friday Loungeと。

※こちらの記事は、HOUYHNHNMブログ『Escape by Melody《メロディによる逃走》』に掲載されていた内容です。


1ヶ月くらい前から、90年代はじめに大ブレイクしたアメリカのTVドラマ「ツイン・ピークス(Twin Peaks)」に夢中です。
昨年、25年ぶりの時を経て「続編」が公開されたらしいのですが、そんなことはまったく知らず、「何か映画観たいなぁ。(もともと映画を借りるつもりだった)あ、ずっと気になってたツイン・ピークスにしようかな」くらいの軽い気持ちでした。
その日から連日のように、TSUTAYAでDVDを借りては観る、返却してはまた次を借りて続きを観る、の繰り返し。
最近やっと「本編」を終え、「続編」の方へ足を踏み入れたところです。

「本編」を見ているあいだは、街中や電車の中の人たちを「ツイン・ピークス」の配役に当てはめてしまったり、夢の中までもが「ツイン・ピークス」一色になってしまうほどでしたが、9月に入ったくらいでそれもなくなり、少し落ち着いてきました。
(引っ越した先で、新調したカーテンを深めの赤色にしてしまったけど…)

「ツイン・ピークス」は、作品ももちろんですが、サウンドトラックも非常に素晴らしく、暑い夏が終わって涼しくなってきた今のこの気候を美しく彩りつつ、妖艶に絡み合って景色の中へ馴染んでいきます。
現実と夢の狭間にいるような、冷たいような生温かいような…。
ただ、想像するに、おそらく、どの季節にもマッチするんじゃないかな。
だからこそ、当時、世界中で大ブレイクしたんでしょうね。

「ツイン・ピークス」だけではないですが、この90年代初期の頃って、すべての事象の「輪郭」がぼや〜っとしていて、本当に魅力的です。
90年代初期、と敢えて言うのは、その後、デジタル化(ネットワーク化)が急成長することに起因します。
80年代のぼや〜っも大好きなんですが、90年代初期は、特にこの「見えない力」に引っ張られていく過程、という感じが強烈です。
あらゆるところで綱引きをしているみたい(実際には綱じゃないけど、とにかく引っ張り合っている感じ)と言うか、こう、地球全体の時空が少し歪んでいるように見えるというか...。
そんな感覚が私の中にずっとあったのですが、この作品に出会って、それが確かなものになって、すーっと溶け合って、一体化しました。(「ツイン・ピークス」と私がね)

というわけで、「ツイン・ピークス」については、まだ道/未知の途中なので、まだまとまらない部分も多いので、また追って、別の機会に。



そんな80〜90年代のど真ん中に、Aphex Twinのリリースで知られるレーベル《APOLLO》など国内外にて楽曲を発表する、私が心から尊敬する音楽家であり、隠れた映画評論家(と、私が勝手に思っている)でもある巨匠・白石隆之さんと、ネットラジオ《dublab.jp》でのHi-Rayくんの番組で知った音楽家のYAMAANさんを迎えた『Friday Lounge』を、今週金曜日(9月21日)に開催します。







それぞれ個人的にお誘いしたのですが、実は、おふたりは10年ほど前から知り合いだそうで、2011年にYAMAANさんがリリースしたアルバム『12 Seasonal Music』に白石さんがコメントを寄せていた、という奇跡がここでも起きていて、うれしい偶然が続くばかりです。
おふたりが「ツイン・ピークス」を見たかどうかはわからないけど、あの時代ならではの雰囲気や感触みたいなものは、きっと共感していただけるんじゃないかなと、密かに思い描いています。
当日、いろいろお話ししてみたいと思います。

私の担当の『Friday Lounge』は、奇数月の第3金曜日なので、今年も残すところ、あと2回。(『Friday Lounge』についてはこちらからどうぞ)
この日は、いろんな「輪郭」が楽しめる夜になると思います。
秋の夜長に、ぜひ、ゆったりと、揺らめきにいらしてください。
心よりお待ちしております。



▼Infomation
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Friday Lounge

2018/9/21 fri at Café Apres-midi
OPEN / START 20:00
CHARGE: 500YEN

Guest DJ:
白石隆之
YAMAAN

DJ:
maa [Hamon Radio]
DJ Emerald
Toru Hashimoto [SUBURBIA]

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日本初のインディーズ・レーベル《Vanity Records》よりBGM名義で、また、Aphex Twinなどで知られるテクノ名門レーベル《APOLLO》よりPLANETOID名義で、1980年代より国内外問わず楽曲リリースし、圧倒的に研ぎ澄まされた感性と、技術、知識をすべて持ち合わせる白石隆之氏の大変貴重な「非ダンスフロア」でのDJセット。
そして、日本の12ヶ月の季節の情景を表現したアルバム『12 Seasonal Music』で知られる、ヒップホップからアンビエントまでを自由に行き来するトラックメイカーYAMAAN氏のDJセットでお送りします。
“あるべき偶然”が漂い、淡い青色の月が夜空に浮かぶ、9月の第3金曜日へ。
心よりお待ちしております。



about《Friday Lounge -The Third Monday of the month-》
2018年の毎月第3金曜日は、渋谷と原宿のちょうどあいだに位置するビルの5階「Café Apres-midi」にて、maa、Wataru Sakuraba、DJ Emeraldの3人のDJによる「Friday Lounge」を開催しております。



2018年8月4日土曜日

代官山『OFF』オーナーSakaiさんのパーティ《Kompas》at 中目黒solfa

※こちらの記事は、HOUYHNHNMブログ『Escape by Melody《メロディによる逃走》』に掲載されていた内容です。


先日、坂本龍一さんがお気に入りのレストランの音楽があまりにも酷いため選曲を引き受ける、というニュースがありました。
私も(レストランに限らずですが)あらゆるところで、かなりこの問題にぶちあたります。
「自分だったらああするのになぁ」と思ったことも、数知れず。
だから、この提案をさらりと実現させてしまうこのニュースを知ったとき、変に親近感が沸きつつも、さすが教授だなぁ・・・と心底感心しました。
ほんと、かっこよすぎる。



代官山にある『OFF』は、私のお気に入りのヘアサロン。




photo: OFF


『OFF』は私にとって、偶然見つけた場所なんだけど、たった一度行っただけでお店の雰囲気がものすごく気に入ってしまって、それから数年、今でもずっと通っています。
もちろん、雰囲気だけでなく、技術面とか、従業員の子がみんなチャーミングとか、そういうのも含めて全体的に大好きなんだけど、圧倒的に今までのヘアサロンと違うのが、店内に流れるBGM。
一番印象に残ってるのは、アーサー・ラッセル(Arthur Russell)関連が流れてたこと。(別のアーティストのカバーとかも含めて)
このあいだ行ったときは、ウィル・ロング(Will Long)が流れてたっけ。
そして、『OFF』はビルの最上階にあって、窓も多く、風通しがよくて、移り変わる外の天気とのミラクルが、常に起きてるような感じがします。
毎回、その居心地の良さに、うっとりしてしまいます。
(あと、少し細かいことかもしれないけど、音のボリュームも絶妙)



そんな素敵なBGMを選曲をしているのが、『OFF』のオーナーのSakaiさん。
美容師としてのキャリアだけでなく、DJとしてのキャリアも長いSakaiさんの主催のパーティ《Kompas》が明日、中目黒solfaで開催されます。
メインフロアのゲストには、世界中を飛び回るDJ Sodeyamaさんが出演します。
なんでもおふたりは、20年以上付き合いのあるお友達だというからびっくり。


SakaiさんのInstagramのコメントより引用
=================
彼此22年前くらい、DJとしては僕の中では一番古い友人にあたると思います。
若かりし頃、僕も憧れた世界であり、最も成功するのが難しい世界で常に第一線で活躍し続け、世界を股にかけ、我が道を進んで行く姿は格好良いです。
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しかもSodeyamaさんは、ストイックなDJプレイからは想像がつかないフレンドリーさを持ち合わせているのも、素敵なところのひとつです。


そして、ラウンジフロアのゲストには、《Beams Records》の青野賢一さんをお迎えします。
青野さんについては、以前のこちらの記事にも書いたとおり。
いつどんなところでばったり会っても、常に「ハンサムな佇まい」なのには、本当に驚きます。

言うまでもないですが、もちろん、青野さんのDJも大好きです。
今年は、毎月DJMixがアップされるので、すっかり楽しみのひとつになっています。





明日の夜は、是非《Kompas》へ。
最高気温37℃(予報)の日中を越えた後、至上の音楽のシャワーを浴びにいらしてくださいね。




▼Infomation
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2018/8/5(sun) “kompas” at solfa[中目黒]
OPEN / START 18:00
CHARGE: ¥2500/1D

-Room 1-
DJ Sodeyama [ ARPA records / трип ]
Wataru Sakuraba
Sakai [ KOMPAS / parallel ]
Nancy [ KOMPAS ]

-Room 2-
Kenichi Aono [ BEAMS RECORDS ]
TEN
Shunhoriki [ Friday Lounge / i niche ]
DJ Emerald

VJ – Miki Yoshioka

Food – Alice da 食堂

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2018年7月21日土曜日

《ロブスター・テルミン》レーベルショーケース|Lobster Theremin 5 years in Tokyo

※こちらの記事は、HOUYHNHNMブログ『Escape by Melody《メロディによる逃走》』に掲載されていた内容です。


ロブスター・テルミン〈Lobster Theremin〉。

世界初の電子楽器「テルミン」を演奏するかのように、1本の手が「ロブスター(ウミザリガニ)」を操る、愛おしい手書き風のイラストが特徴のロンドン発のこのレーベルは、傘下に〈Mörk〉〈Distant Hawaii〉〈Tidy Bedroom〉という3つのレーベルも持ち、2017年にはレコードショップまでオープンし、ここ数年、ものすごい勢いで拡張し続けている。

また、流通(ディストリビューター)としてのセンスもとっても素晴らしく、数え切れないほどの楽曲を世にリリースしていて、そのファンも世界中に数多く存在する。
私もどちらかというとそのクチで、楽曲を買ったあとで「あ、これロブスター・テルミンがディストリビュートしてるんだ」と知ることがたまにある。

先日、《Pioneer DJ Radio》に提供させていただいたDJmixの序盤で流れるAquatic Languageの「Départ」という楽曲も、Lobster Distributionシリーズのひとつ。
また、中盤で流れるBlair Sound Designの「Overheated」という楽曲は、Lobster Thereminからリリースされているもの。
「星のカービィ」の音がサンプリングされてて、つい顔がにやけちゃう。








基本的にダンスミュージックがメインで、その中でもハウスが一番の軸にはなっているんだけど、ロブスター・テルミンの最高の強みは何と言っても「曲者なのに、どこか人懐っこさがあるところ」に尽きると思う。
楽曲ももちろん、アートワークも含めて、「マニアックな要素」と「キャッチーな要素」のバランスがとにかく絶妙。
あと、このレーベルロゴがそうであるように、「こんなレーベル」と簡単に言いあらわせないところがまた魅惑的でとてもよい。
「なんだろう?」と思うことからすべてがはじまることを忘れてしまう大人になんて、絶対になりたくないもの。

そんなロブスター・テルミンのレーベル設立5周年を記念して、今夜、渋谷Circus Tokyoにて、初来日となるレーベルのボスであるAsquithと看板アーティストのRoute 8を迎え、盛大にお祝いしたいと思います。
いやー、楽しみ。






ちなみに、ロブスターを捕まえる夢を見るのは、いいことが起こる兆しみたい。
信じるか信じないかは、あなた次第だけど。



▼Infomation
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ロンドン発、次世代ハウスシーンをにぎやかす才人を多く発掘するLobster Theremin(ロブスターテルミン)。今年で設立5周年を迎える新興レーベルのボスであるAsquithと看板アーティストのRoute 8が一挙初来日、レーベルショーケースが開催!


LOBSTER THEREMIN 5YEARS IN TOKYO
2018.7.21(SAT) OPEN: 23:00

LINE UP:
-B1 FLOOR-
Asquith (Lobster Theremin)
Route 8 (Lobster Theremin / Nous)
Romy Mats (解体新書 / N.O.S.)

-1st FLOOR-
Sayuri  
DJ Emerald
DJ Razz
T4CKY 

DOOR: 3,000yen
ADV: 2,500yen

TICKETS on RA, Peatix

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Asquith (Lobster Theremin / from London)
ロンドン発、新興レーベル兼ディストリビューターとして近年めきめきと勢いをみせるLobster Theremin(ロブスターテルミン)。そのレーベルボスであるJimmy Asquithは、2013年にレーベルLobster Thereminを設立。Lobster Theremin傘下に3つのレーベル、Mörk、Distant Hawaii、Tidy Bedroomも始動し、また、エレクトロミュージックシーンではグローバルに知られるディストリビューターである。2017年1月にはハックニーにレコードショップ実店舗もオープンさせた。
ロンドンのCorsica Studiosでのパーティー"FIND ME IN THE DARK”は毎回ソールドアウトになるほどの人気ぶりで、Asquithは常に新しい才能をサポートし、Discwoman、Workshop、Antinoteなどとのコラボレーションも行なっている。
海外ツアーをこなしながらも、Rinse FMでレギュラーを担当し、Tom HangやChicago Flotation Deviceといったアーティスト名義でリリースを重ねている。2017年12月にTom Hang名義でのデビューアルバム『To Be Held In A Non Position』をリリース。
今年でレーベル設立5周年を迎え、ロブスター・テルミンのレーベルショーケースとしてのツアーを展開している。
Jimmy Asquith founded the well-renowned label Lobster Theremin in 2013. Since then the label boss has established three imprints including; Mörk, Distant Hawaii and Tidy Bedroom, as well as a respected distribution service used widely within the electronic music scene, and a physical record shop based in Hackney, East London.

Alongside the label, Asquith continues to sell out his Corsica Studios based night Find Me In The Dark, which champions emerging talents and sees collaborations with the likes of Discwoman, Workshop and Antinote. DJing internationally, Asquith simultaneously is producing and performing under multiples aliases all whilst holding down a regular Rinse slot.

On top of that, Asquith’s personal and ambiguous ambient alias, Tom Hang, will be releasing his debut album this December following a heart-wrenching Cafe Oto performance. Part ambient, drone, noise and a tapestry of clouded, intermingling emotions, ‘To Be Held In A Non Position’ is a three-and-a-half year release from stasis; an exhale from a long-held breathe; a shallow sleeper now awake.

On a DJ tip, increased gigs have led to a stylistic shift, a move back to UK-oriented sounds blended with old-school US influences and plenty of new names and talent littered throughout the set lists, alongside occasional older selected digs from the garage-house trove.

The start of 2018 will see a solo Asquith jaunt of North America as well as a Lobster Theremin debut showcase at Motion on January 20th, kicking off the 5 Years of Lobster Theremin European tour.
https://lobstertheremin.com/

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Route 8 (Lobster Theremin / Nous)
ハンガリー、ブダペストのDJ/プロデューサー、Route 8。Lobster ThereminやNousからのリリースによって、その名を知られるようになったが、ハードウェアを使っての音楽制作とその探求は10年以上前から始めている。USのロウなハウスやテクノからインスパイアされた、メランコリックなメロディーと巻き込むようなドラムパターンで、エレクトロやアンビエントまで拡大解釈できるオリジナルなサウンドを追求している。DJ CidermanやQ3Aという名義でも知られる。
Route 8 has only recently gained prominence through the Lobster Theremin and Nous labels, but his hardware production experiments date back almost 10 years. Inspired by the raw-edged US house and techno sound, he has also expanded his work into off-kilter electro and ambient, still inflicted with his melancholia-tinged melodies and ratcheting drum patterns.
https://soundcloud.com/route8


*Photo ID required.
*You must be over 18 to enter.
*No re-entry.
*Please do not bring food and drink.

■CIRCUS Tokyo
3-26-16, Shibuya, Shibuya-ku, Tokyo 150-0002 Japan
+81-(0)3-6419-7520
info@circus-tokyo.jp

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2018年7月19日木曜日

《Friday Lounge》at 渋谷カフェ・アプレミディ|You Forgot&Nariを迎えて

※こちらの記事は、HOUYHNHNMブログ『Escape by Melody《メロディによる逃走》』に掲載されていた内容です。


今年の《Friday Lounge》も、早いものでもう折り返し。

後半は、7月、9月、11月の第3金曜日を担当します。(前半は偶数月だったのです)
7月の開催は、もう明日。そう、もう明日。

ゲストには、まず、神様みたいな、妖精みたいな存在のYou Forgotくん。


彼とはじめて会ったのはいつだったか…(忘却…これは私の特技…)なんだけど、とにかく印象的なのが、去年の6月、Mr.G来日公演の時のContact Tokyoのセカンドフロア(CONTACT)。
私の次がYouくんで、Crue-L Grand Orchestraの「(You Are) More Than Paradise (Theo Parrish Translation Long Version 1)」(たしか、こっちのバージョンだったはず)に、レコードの針を落としてパスをしたその後。
彼のロングミックスの華麗さに、同じブースの中で惚れ惚れしたあの光景。これが、ひとつめ。
もうひとつは、さらにそのまま続いた朝までの時間、ぜんぶ。
真裏のメインフロア(STUDIO X)での、Ryosukeさんのプレイも体験しつつだったから、途切れ途切れにはなっちゃったけど、あの日、Youくんが書き上げたひとつの短編小説みたいな空間は、特別なものだった。
(音が止まった後、思わず興奮気味にYouくんに感想を伝えてた記憶あり。これは覚えてる。)





そして、もう一人のゲストは、近年、人気急上昇中のハウス・ミュージック・コレクティブ《CYK》から、Nariくん。



《CYK》を構成する他のメンバーは、Kotsuくん、DJ No Guaranteeこと平井くん、Naoki Takebayashiくん。
全員がDJで、宣伝部長で、クラウドであるこの集団は、今のクラブシーン(「ハウス」を軸にしていろいろな場所)をかき回す、エネルギーに溢れたコミュニティ。
それぞれにセンスがないと成立しないことはもちろんなんだけど、それ以前に、ひとりずつのキャラクターがはっきりしてるのもあって、The Beatlesみたいだな、とひっそり思っていたり。
Nariくんがポール、Kotsuくんがジョン、平井くんがジョージで、竹林くんがリンゴであることは、誰の目から見ても明らかでしょう。

天才バカボンの作者、赤塚不二夫先生がこんなことを言ってた。
「どんな映画も、”若い時”に見なくちゃダメなんだ」と。
“若い時”にしか「感じられないこと」がある、ということだと思うんだけど、彼らの活動を見ていると、それがすごくいい形で映し出されていて、爽快な気分になる。

Nariくんとの出会いも、去年のContact Tokyo、Leon Vynehallの来日公演のとき。
私の前にプレイをしてたんだけど、現場を冷静に見て、雰囲気をコントロールしていたのをよく覚えてる。
彼のその"さりげなさ"は目を見張るものがあって、存在感を出すこともできるし、消すこともできる、魔法使いみたいなDJだなと思う。




というわけで、「聴いてよし」「踊ってよし」のバランスがとれたDJお二方を迎えた、7月の第3金曜日の《Friday Lounge》は明日です。
どうぞお楽しみに!



▼Infomation
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Friday Lounge

2018/7/20 fri at Café Apres-midi
OPEN / START 20:00
CHARGE: FREE

Guest DJ:
You Forgot [UGFY]
Nari [CYK]

DJ:
maa [Hamon Radio]
DJ Emerald
Toru Hashimoto [SUBURBIA]

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抜群のバランス感覚と繊細な審美眼で、一瞬たりともフロアの空気を取り逃がすことなく、フロアを愛でるようにプレイするDJ/You Forgotと、次世代のハウスシーンをリードするコレクティブ《CYK》に所属し、今年、世界基準の野外パーティ《rural》への2度目の出演も決定しているDJ/Nariを迎えて。
ダンスフロアの出演がメインの彼らが作り上げる「セカンドフロア」に、この上ない期待が高まる、貴重な第3金曜日の夜へ。
どうぞお気軽にお越しください。



《Friday Lounge -The third Monday of the month-》
2018年の毎月第3金曜日は、渋谷と原宿のちょうどあいだに位置するビルの5階「Café Apres-midi」にて、maa、Wataru Sakuraba、DJ Emeraldの3人のDJによる「Friday Lounge」を開催しております。


2018年6月5日火曜日

東京湾の上で|Jicoo The Floating Bar

※こちらの記事は、HOUYHNHNMブログ『Escape by Melody《メロディによる逃走》』に掲載されていた内容です。



今週末の土曜日は、「銀河鉄道999」「宇宙戦艦ヤマト」でおなじみの漫画家・松本零士さんのデザインした船『Jicoo The Floating Bar』にて、ミュージックセレクターとして出演します。
『Jicoo』は、東京湾に浮かぶ、船上バー。
七色に光る宇宙船の船内からは、海抜0メートルの動く東京湾の夜景を楽しむことができます。
『Jicoo』でしか体感することのできない、幻想的な、非日常空間。
柔らかな波の揺らぎと、心地よい音楽で、体だけでなく、心ごと、うっとりしにいらしてください。





『Jicoo』といえば、ちょうど3年前の6月5日、ロサンゼルスの音楽プロデューサー、Leechの来日公演を行った際、会場のひとつして利用させていただきました。



LeechことBrianは、エレクトロニックミュージックを軸にして、長年、演奏はもちろん、アレンジやエディットなど幅広く活動している大ベテラン。


LEECH - TUSKS teaser from 100% Silk on Vimeo.


来日公演の「主役」はもちろん、来日する張本人なんですが、全5公演のうち1公演は「日本の文化を体感してもらうこと」をテーマにして、「雅楽」とのコラボレーションを企画しました。
前例のない、まったく想像できない異空間。
それが実現できるのは、『Jicoo』以外に考えられませんでした。


雅楽の演奏をお願いしたのは、「篳篥(ひちりき)」という小さな縦笛のような楽器の演奏者、三浦元則くん。
東京藝術大学非常勤講師も務めています。



「笙(しょう)」の演奏者である三浦はなちゃんと、龍笛(りゅうてき)の演奏者である纐纈拓也くんを率いて、雨が降る東京湾の船上という別世界を、さらに上回る特別な異空間へと、みんなを連れ出してくれました。
船内にいる人たち全員が、雅楽特有の洗練された音の重なりに、ゆっくり手を差し伸べるように、意識をすーっと集中させて、聴き入っていました。



雅楽の演奏の後は、LeechのDJセットがスタート。
余韻を残しつつも、徐々にパーティモードへ持って行く彼のプレイは、さすがの一言。圧巻でした。
いつの間にか、船内の真ん中で、ダンスをする人たち。
その中に、さっき篳篥を演奏していた元則くんが登場。(和装から洋服へ早着替え)
ハウスダンスを、とにかく軽快に、楽しそうに、自由に踊る踊る。

雅楽のグルーヴ(って言っていいのかわからないけど)と、ハウスのグルーヴの両方を持ってる人なんて、他にいるのかしら?
どっちの元則くんもものすごくかっこよくて、人柄もとても魅力的で、一緒にいてとても居心地がよくて。(当時、事前打ち合わせのために焼肉屋さんに行ったときも、ついつい長居した記憶…)
彼に会うたびにいつも、「素敵な人だなあ…」と、心惹かれる自分がいます。
そして、世界最古のオーケストラとも言われ、無形文化遺産でもある日本が誇る伝統音楽でありながら、現代の日本の中では馴染みのない雅楽の世界へ、さりげなくエスコートしてくれる彼に、心から感謝します。

本当にこの日は、奇跡の夜、としか言いようのない、素晴らしい一夜でした。




この日以外にも、『Jicoo』の思い出はいくつかありますが、続きは船の上でお話ししましょう。;)




▼Information
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2018.6.9(土)
at Jicoo The Floating Bar[東京湾上]
18:30-23:00

■Artist
MUSIC SELECTOR
Emerald, Chloé Juliette, methyl., Ryota Uehara, Takahiro Haraguchi

■Departure time
日の出桟橋 / Hinode Pier | 19:00 20:00 21:00 22:00
お台場海浜公園 / Odaiba Seaside Park | 20:30 21:30 22:30

■Charge
2,600yen
*料金にはフローティングパス・消費税が含まれます

■Access





2018年4月14日土曜日

アルヴィン・ルシエ、「音楽」と「言葉」の境界線

※こちらの記事は、HOUYHNHNMブログ『Escape by Melody《メロディによる逃走》』に掲載されていた内容です。




先週、アルヴィン・ルシエ(Alvin Lucier)のライブに行ってきた。
「音楽家」という言葉ひとつでは、表現しがたい彼の存在。
エヴァー・プレゼント・オーケストラ(Ever Present Orchestra)を率いてのそのパフォーマンスは、今までに体感したことのない、未知の領域そのものだった。
「前衛的」とか「反発」といった、ただ固定概念をぶっ壊すようなものではなく、すべてをひとつずつ解体し、それらを丁寧に再構築し、時間軸を超えたスピードで、ものすごくゆっくりと(厳密に言うと「ゆっくり」なはずなのに過ぎていく時間はあっという間、という不思議な感覚)私たちの目の前で繰り広げられた。
それは「表現」ではなく、「会話」であり「問いかけ」だった。
会場にいる人たちは意識を集中させ、ルシエの提示を見逃さないように、聞き逃さないように、感じ損ねないように、注意深く凝視していた。(中には目を閉じている人もいたけど)
あの時、流れていた時間こそが、私たちの『本質』であると、確信した。







私たちは、生まれてきたときは、すべてのものが「新しい」。
見るもの、聞くもの、感じるもの。
とにかく、全部が「はじめて」だから当然だ。
ただ、時間が経過とともに経験を重ねていくので、その「新しい」感覚は必然的に減っていく。
あらゆるものに、慣れていく。
そうすると、いつの間にか、あらゆるものの「境界線」が曖昧になっていき、溶け込んでいってしまう。
すべてのことが「当たり前」になってしまう。
「当たり前」のことなんて、本当は何ひとつ、ないのにね。







人間は、「分ける」生き物だ。
国も、料理も、色も、病気も、罪も、思想も、植物も、性別も、感覚も、何もかも。
物事は分けられ、整理され、それぞれに名前がついている。
それ自体が悪ではないし、整理をするために必要なのはとてもよく理解できるし、恩恵もたくさん受けているとも思う。
ただ、それに固執しすぎたり、「分けること」が目的になったり、「分けたもの」の奪い合いやそれによる争いが生まれたりするのは、まったくもって『本質』ではない。
目安として「分けたもの」が、武器になってしまうなんて。
「分けたこと」によって、誰かが不幸になってしまうなんて。
もう、本当に、心が傷むばかり。







私は、「音楽」と「言葉」には厳密な境界線はない、と感じていたことを原動力にして、このブログを始めた。
「1+1=2」というような、数学的なこととは真逆のベクトルだ。
はっきりとした答えがあったとしても、それはすぐに、消えていくかもしれない。
ただ、そこになにかしらの「ヒント」や「きっかけ」や「ひらめき」があればいいなと、毎日、毎時、毎分、毎秒、想いを馳せている。

2018年4月7日土曜日

豪徳寺近くの『バレアリック飲食店』と、インターネット・ラジオ《Hamon Radio》

※こちらの記事は、HOUYHNHNMブログ『Escape by Melody《メロディによる逃走》』に掲載されていた内容です。




嵐が過ぎ去った今日の夜は、豪徳寺そばにある『バレアリック飲食店』にてDJします。

『バレアリック飲食店』は、ごはんもお酒もスイートもほんっとうに美味しいのはもちろん、写真からもわかるように、植物がたくさんあって、雰囲気もよく、居心地がよい。
でも、おしゃれすぎて敷居が高い"あの感じ"もなく、まるで海外にいるような"あの感じ"ともまた違う。
すべてが「ちょうどいい」感じなんです。
何度も何度も行きたくなる、大好きなお店のひとつです。



『バレアリック飲食店』オーナーの快くんのインタビューはこちら


そして今回は、最近ローンチしたばかりのインターネット・ラジオ《Hamon Radio》とのコラボレーション。

現場だけでなく、YouTubeからもリアルタイムでご覧になれます。
《Hamon Radio》の情報がまとまっているTumblrはこちら


世界中へ発信するためにサイト内は英語表記が多いですが、簡単に訳すとこんな感じかな。

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「Hamon Radio」は、世界中の人々が共有しコミュニケートする「第三の場所」。
「Hamon」は、日本語の「波紋」のこと。
水面は、水滴が落ちるとゆっくりと波紋が広がっていき、次第に大きな影響を受けます。
私たちは、「Hamon Radio」がこの最初の水滴のようなものになれることを願っています。
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今夜は、その《Hamon Radio》のサウンド・ディレクターの二人と共に、ゆったりとした、リラックスできる空間が作れたらと思います。
そして、その空間がインターネットを通じて、世界中に広がっていくこともイメージしながら。
私たち人間が生み出したインターネットの世界は、本来、こういう風につかわれるべきよね、と、心底思う、昼下がり。

では、また後ほど。:)




▼information
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"Balearic Restaurant w/ Hamon Radio"

2018/4/7(土)
at バレアリック飲食店[豪徳寺]
START 19:00-
Entrance: FREE(店内でのご注文は別途お願いいたします)

-DJ-
Tatsuya Ouchi (Hamon Radio)
maa (Hamon Radio)
DJ Emerald

『バレアリック飲食店』より中継生放送。
YouTubeでご覧になれます。
YouTube URL:https://goo.gl/WFDpAb

Broadcast schedule (JST):
19:00 ~ : Tatsuya Ouchi
20:00 ~ : DJ Emerald
21:00 ~ : maa

2018年3月10日土曜日

西麻布Bullet’sの閉店と、私の想いと。

※こちらの記事は、HOUYHNHNMブログ『Escape by Melody《メロディによる逃走》』に掲載されていた内容です。


今から11年前の、2007年。
初代iPhoneが発売された頃。

西麻布の『Bullet’s』にはじめて訪れたのは、蓮沼執太さんなどが出演していた《CMFLG》という、delaさん主催のイヴェント。
六本木の喧騒から少し離れた地下室で、靴を脱いで、赤い絨毯やキングサイズのベッドの上で、座ったり転がったりしながら、音楽を聴いて、お酒を飲んで、友達とおしゃべりして。


バーカウンターの中にいるのは、『Bullet’s』のオーナーのHarryさん。
美人で、ユニークで、優しくて、エキゾチックで、人を惹きつけるエネルギーに満ち溢れた、とても魅力的な人。
私は、もう、一瞬で、この場所が気に入ってしまった。



2008年、私が「DJ」と無縁だった頃。
その『Bullet’s』で音楽、お芝居、ヘアメイクブースなどを取り入れながら、自分が今まで体感したことのないイヴェントを主催して、いろいろチャレンジさせてもらった。

2010年、私が手探りで「DJ」をはじめた頃。
「ソフィア・コッポラ」「バンドTシャツ」「宇多田ヒカル」「多幸感」「星座」など、コンセプチュアルなDJイベントを、思いつくままに開催させてもらった。(こう並べてみると、本当にとりとめないね。)
その中でも、ピコピコさんは、強烈過ぎる思い出のひとつ。
いわゆる私が用意したサプライズだったんだけど、自分自身も「ベッコスくん」の登場の瞬間まで、ずーっとドキドキしてた。


同じ日に出演いただいた”大人”紙芝居師の飯田華子さんも、『Bullet’s』の持つ妖艶さを、独特な雰囲気で十二分に引き出していた。

2012年、私が「ハウスミュージック」に惹かれるようになった頃。
《100%silk》というL.Aのレーベルがきっかけで聴き始めたその音楽は、自分が聴いてきた楽曲や触れてきた視覚的感覚と地つづきなのに、今までとは明らかに違った新しい世界観があって、とにかく、好きで好きで仕方がなかった。こんなことってあるんだなぁって、自分でもびっくりしたくらい。
そんな中、《100%silk》からオーストラリアのミュージシャン・Roland Tingsが来日することが決まり、そのギグを『Bullet’s』で行った。
この日がまた、私にとって最高の夜だった。





自分の好きなものだけに囲まれた「私だけの秘密の部屋」という感じがして、気持ちがものすごく高ぶっていたのを、今でも鮮明に覚えている。
あと、このイベントの前日、『eleven』で行われたDJ HARVEYと瀧見憲司さんの二人会が夢のような一夜だったこともあって、イベントの前半、ずっと二日酔いだったことも…。




たまに行く『Bullet’s』は、私にとって「非日常」そのものだった。
その「非日常」に、「日常」が混ざり合ったのは、同年、自分のイヴェント《Synthesmic》を、定期的に開催するようになってから。
「シンセサイザー(Synthesizer)」と「宇宙(Cosmic)」をテーマにした《Synthesmic》は、その名前の通りで、それ以上でも、それ以下でもない。
ただ、そのコンセプトに沿って、できることは何でもしたかった。
無重力、とまではいかなくとも、なるべく抵抗力のない、フラットな状態でありたいと、常に思っていた。

シンプルに、このコンセプトに共感してくれた出演者のみなさんと、会場に足を運んでくれたみなさんとで作り上げたのはもちろんのこと、Feldermelder、Twigs & Yarnなど、海外アーティストの来日公演として開催することもあったし、「音楽」だけに絞るつもりもなかったので、「宇宙」に関わる本を読み放題にしてみたり、「宇宙マッサージ」のプリミ恥部さんに参加していただいたり、「宇宙カレー」にごはんをお願いしてみたり。
ダンサーのMELONちゃんには、「女性」としての宇宙を表現してもらって、すごくうっとりするものだったし、年4回の季節ごとの準レギュラーだった、ほそかわゆみちゃんが所属するアヴァンギャルド・テクノ・ポップ・バンド「動く指」は、毎回、摩訶不思議で、地に足つかないとことんキュートなライブだった。
オンライン上(Soundcloud)のメッセージで、カタコトな英語で頑張ってやりとりしてた、ブルックリンから来たDJが、日本語ペラペラの日本人だったり(asyl cahierとSlyAngleの悪戯…)、悪ふざけが過ぎたYoshinori Hayashiくんは、私の新品のレコード針でスクラッチしまくり、終了時間になってもなかなか終わらないし(個人的にはずっと聴いていたいんだけど!)、多忙を極める長州ちからくんは寸前でWブックギングが発覚したり。(それでも憎めない彼の存在は最強)

《Synthesmic》のことは、書き出したら本当にキリがないけど、一夜ごと、それぞれのドラマがあって、それらすべてが愛おしい。
3年間、全部で37回、毎月続けてこれたのは、関わってくれたみなさんのおかげ。
あらためて、感謝の気持ちでいっぱいです。どうもありがとう。



これらの自分主催のイヴェントと並行して、オーナーのHarryさんは、他のイヴェントへの出演のオファーもしてくれて、たくさんの出会いを提供してくれた。
しかも、お誘いをしてくれたイヴェントすべてが、私にとって本当に実りになるものばかりだった。
その中でも、忘れられないのが2011年2月に行われた「My Bloody Valentine Night」通称「マイブラナイト」。



まだ「DJ Emerald」という名前もなく、ほぼ身内ノリのイヴェントでしかDJをしたことがなかった私に、「出てみない?」と声をかけてくれた。
緊張しながら当日を迎えて、知り合いもほとんどいない中で、自分が用意した音源を持ってDJブースに近づいていく。
私の前のDJは、くねくね体をうごかしながら、エフェクターを使いつつ、シューゲーザーの輪郭のない美しさを増幅させていって、とにかく最高にかっこよかった。
会場もすごい盛り上がっていて、「この後やりづらいなあ…」と思いつつ、準備をしていると「次の曲で渡すね」とそのDJから声がかかった。
そして、彼が最後にかけた曲が、Célineの『Un Rêve』。



私が今日、メインの曲としてかけようと思っていた曲だった。
急に頭が真っ白になってしまって、どうしようどうしようと慌てつつ、でも、私は「今日絶対この曲をかける」と心に決めていたので、ここぞ!というタイミングで、かけてみた。(4曲目くらいだったかな)
すると、「いいね〜」「何度聴いてもいいわ〜」とDJブース越しに、そのDJの彼も含め、何人かが声をかけてくれた。
その時、私の目に映った光景は、今でも昨日のことのように脳裏に焼き付いている。

私のプレイが終わった後、「DJよかったよ〜」と声をかけてくれたのは、さっきのDJ。
あなたのDJは素晴らしかったと伝えると、「ただの酔っ払いだけどね〜」と柔らかい口調で謙遜していた。かぶってしまった『Un Rêve』の話もしつつ、相変わらずくねくねしながら、また一緒にDJやりましょう、と言いながら、名前を交換。
彼の名は、hitch(ひっち)。
漫画の中から飛び出してきたような、すごく親しみのあるキャラクターの彼のおかげで、その後、すごいスピードでたくさんの人とのつながりができて、DJをする機会が増えていった。
そして、Harryさんからは、毎年バレンタイン近くになると、この「マイブラナイト」のDJオファーをいただけて、すごくうれしかった。
2013年の回は、My Bloody Valentineのドラマー、Colm O Ciosoig(コルム・オコーサク)が現れて、みんな驚いてたっけ。




私が出演するイヴェント以外のラインナップも含めて、Harryさんの、ひとつひとつのイヴェントに対しての情熱は、とにかく驚異的だなといつも感じていた。
聴いたことのない音、形容しがたい表現、他の場所では会えないような人、すべてが集まる空間が、いつもそこにあった。
2014年5月に行われた『Bullet’s』の15周年イヴェントでは、信じられないほど間近で、細野晴臣さんのライブも体感。


まさに、「日常」と「非日常」のちょうど真ん中くらい。
左うでの夢…は、教授のアルバムだけど、細野さんがギターを弾きながら歌う姿は、本当、夢のような時間だった。




私は、小さい頃からずっと、「歌」と「メロディ」と「キー(調)」と「質感」を軸に、音楽を聴いてきたように思う。
「歌」には、「言葉(歌詞)」がある。
「メロディ」と「キー(調)」には、「記号」がある。(CとかFとか。♯とか♭とか。)
ただ、「質感」には、明確な区分はない。
その曖昧さが「自分だけのもの」であり、「好み」であり、「オリジナル」であり、「センス」なんだと思う。

2012年以降、「DJ」をやりはじめるようになってからは、自分の知らない世界が徐々に見えてくるようになった。
「BPM」(テンポ)とか「ビットレート」(音質)が、数値として日常的に取り上げられていたり(今思えば、ピアノの楽譜の右上にあった「♩=120」がテンポ=BPMだったのか…)、自分が把握している「ジャンル」は、12色入りの色鉛筆のようなものだと知ったり。(「ロック」「パンク」「メタル」「クラシック」「ボサノヴァ」…)
一般的かどうかという視点で、認知度の差はあれど、数え切れないほどの「ジャンル」が存在していることが、とにかく、一番、衝撃的だった。


正直なところ、「ジャンルなんて」と思っていたこともあったし、自分だけの「質感」が「ジャンル」に取って代わられてしまうのではないか、という不安もあったけど、「ジャンル」を経由した後の音楽の聴こえ方は、明らかに、今までに体感したことのない感覚だった。
あまりいい表現ではないかもしれないけど、"心だけで聴かずに、頭も使って聴く"という感じ。
「メロディライン」や「コードの展開」ばかり聴いていた私は、「ベースライン」「リズム/ビート」の方にも、意識が向くようになった。
昔、自分が聴いていた曲をあらためて聴くと、「あれ、バランス悪くない?」とツッコミをいれたくなるようなものもあったりした。
一方で、全体の雰囲気として好きだった曲なんかは、粒度が前よりも細かく聴こえるようになったために、心と頭のバランスが上手にとれなくなることもあった。

「見える景色」は広く、深く、拡張していったことは間違いないのだけど、以前の「狭さ」「浅さ」も気に入っていた自分がいることに気がついてしまって、「ピュアだった頃には、もう戻れないんだ...」という悲しみが大きくなりすぎたこともあった。(なんて繊細な私なんでしょう)
あらためて、今思うと、このバランスがとれた「DJ」こそが、私の理想なんだと思う。




『Bullet’s』は、私にとって、あの頃のピュアな気持ちに戻れる場所。
そして、今の私が「見える景色」を自由に行き来しながら音楽を聴くことができるのは、『Bullet’s』があったから。
もし、『Bullet’s』がなかったら、「DJ Emerald」は存在しなかった。
「DJ Emerald」が存在しなかったら、今、私の周りにいる人たちには、出会えなかった。
それが「必然」だろうが「偶然」だろうが、正直なところ、どっちでもいい。
ただただ、今の自分を包み込む「すべて」が"存在しない状態"は、とてもじゃないけど考えられない。
本当に大切なものは、お金で買えたり、数字で見えたりするものじゃないな、とあらためて感じる。


そんな、私の生みの親のような『Bullet’s』が、2018年3月31日をもって閉店ということで、今までの「すべて」に、感謝の気持ちを込めて、3月29日の木曜日、『Bullet’s』で《Synthesmic》を開催します。



Sputniko!(スプツニ子)さんは、東京ではじめてライブをしたのが『Bullet’s』だったようで、Instagramで、彼女の想いのこもったポストを投稿していました。


"私の青春がなくなっちゃうみたい"な感覚は、私もまったく同じ。
そして、"私の大事な思い出はなくならない"のも、まったく、同じ。
彼女は、『Bullet’s』の本当の最終日、3月31日(土)のラストパーティ《BULLET’S FINAL __ DAY❷》に出演する。
他にも、宇川直宏さん、小林径さん、HiBiKi MaMeShiBaさんなど、豪華かつ『Bullet's』にゆかりのある出演者ばかりで楽しみ。



当日は、「歌」も「メロディ」も「キー(調)」も「質感」も「BPM」も「ビットレート」も「ジャンル」も、すべて取っ払って、たったひとつの「想い」だけで、DJをしたいと思います。
最後の『Bullet’s』、最後の《Synthesmic》で、お逢いできたらうれしいです。


▼Infomation
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"Synthesmic #38"

2018/3/29(木)
at Bullet’s [西麻布]
OPEN/START 19:00-
Entrance: 1500yen
宇宙の本読み放題 / All you can read cosmic books

-LIVE-
ELLEH

-DJ-
pAradice [LIFE FORCE]
Kotsu [CYK]
Wataru Sakuraba
DJ Emerald

-紙芝居-
matocotoshuco


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Synthesizer × Cosmic = Synthesmic

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Synthesmic :::
https://synthesmic.tumblr.com/

Photo Archive :::
https://synthesmic-photoz.tumblr.com/
https://www.instagram.com/explore/tags/synthesmic/

Bullet’s :::
http://bul-lets.com/





2017年12月29日金曜日

DJ Emerald - dublab.jp Radio Collective #153 / 全曲解説

※こちらの記事は、HOUYHNHNMブログ『Escape by Melody《メロディによる逃走》』に掲載されていた内容です。


先月の《dublab.jp Radio Collective》のDJmixのアーカイブをSoundcloudにアップしました。
※当日の詳細はこちら(事前の記事)と、こちら(終了後の記事)から。



そして今回、初の試みとして、使用したすべての楽曲の解説をしてみました。
結構ラフに書いている&かなり長いので、お気持ちとお時間が許す限りでどうぞ。

#2018.1.21追記
本家のdublubにもアーカイブがアップされました。こちらからどうぞ。


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Doppelate / Exception《Share XL》
ロンドンのアーティストDoppelateによる、美しいメロディが散りばめられたアルバムのオープニングを飾るトラック。
全5曲中2曲は、11分を越える楽曲で、申し分なくメランコリックな宇宙空間へ陶酔することができ、特にラストの楽曲は、元EmeraldsのSteve Hauschildtの作品を思い出させます。(この曲は5分31秒。個人的には倍くらいあってもいいと思う…)
Doppelateはハウスのトラックもリリースしているみたいだけど、断然こちらの方がタイプ。
リリース元であるベルリンのレーベル《Share XL》は、私がかつてから好きな《100% Silk》《Church》などから楽曲を発表しているJames Boothがオーナー。

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Iguana Moonlight / III《Not Not Fun Records》
いち早くSapphire Slowsの才能を見出したレーベル《Not Not Fun Records》より、ロシアはモスクワのアーティストIlya RyazantcevことIguana Moonlightの、神秘的なニューエイジ・アンビエント作品。
シンセサイザーと混ざり合う、鳥の声や波の音が、まだ見ぬ"あちら側"の世界へ誘ってくれる。
カセットテープはすでに販売終了。
私はデータで買ったけど、妖しげな紫色のジャケットも好き。

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Alice Coltrane / Er Ra《Avatar Book Institute》
説明不要のアメリカのジャズ・ミュージシャンであり、ジョン・コルトレーンの妻である、アリス・コルトレーンの1987年の作品『Divine Songs』の3曲目。
彼女によって爪弾かれる珠玉のハープ音の粒たちによって、まるで天国へ導かれているかのような気分に。
そして、彼女自身の歌声(昔のエジプト語の方言らしい)を聴いて、どういう意味なんだろう…と、考えてること自体が野暮だな、と思えるくらい、今まで感じたことのない別世界が広がっていく。
偶然にも、今年は彼女の没後10年目で、この楽曲が含まれたコンピレーションがリリースされている。
ただ、これらの作品は、彼女のスピリチュアル・コミュニティ内にのみに発表していた音源、ということで、少し複雑な気分でもあるのが正直なところ。むずかしいね。

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Visible Cloaks / Bloodstream《Rvng Intl.》
先日の来日公演も大好評だった、’テン年代’のアンビエント・ミュージックの代表格とも言える、Spencer DoranとRyan Carlileによるポートランドの2人組のVisible Cloaks。
自分がDJをはじめて間もなく知ったブルックリンのレーベル《Rvng Intl.》は、いまだにずっと好き。
Daniel Lopatinが手がけるFord & LopatinやOneohtrix Point Neverに出会った時の衝撃、再び、と言った感じもあり。

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Phil Struck / Rosegate《Quiet Time Tapes》
何をやってもはずさない、センス抜群のHuerco S.が始動した注目のカセット・レーベル《Quiet Time Tapes》より、ドイツのハンブルクの音楽家Phil Struckによる実験的な作品。
カセットについている12ページのブックレットは、デザイナー/フォトグラファーとしても活躍する彼自身によるもの。
どの楽曲もちょうどいい具合に輪郭が歪みつつ、しっかりと奥行きがあるので、あらゆるタイプの音とmixしがいがありそうで楽しみ。
来年以降も、とても重宝しそうな作品集。

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D.K. / Bricks In White《Melody As Truth》
2017年、私が最も聴いた音楽は、ロンドンの音楽家Jonny Nashの楽曲やDJmixであることは間違いない。
そして、彼が主催するレーベル《Melody As Truth》からリリースされた楽曲も、それらと同じくらい聴いたと思う。
・・・と言っても、リリースのペースはわりと緩やかで、年に数枚ほどで、しかも、リリースしている楽曲は彼自身の作品か、相方の(ような存在の)Suzanne Kraftの作品のみだった。
その中で、二人の存在にまったく引けを取らないのが、パリを拠点に活動するプロデューサーDang Khoa ChauことD.K.。
また、45 ACPという別名義では、全く異なる質感の楽曲を、ロウハウスのレーベル《L.I.E.S.》からリリースしている。
2年前、私はそのことを知らずに、45 ACP名義のEPを買っていた。巡り合わせってすごいね。

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Árbol / Moon Shadowed《Lejos Discos》
今回のdublab.jpのゲストであるPedroがバルセロナ出身ということで、同じくスペインの音楽家であるÁrbolの楽曲を。
ÁrbolことMiguel Marinとは10年くらい前に知り合って、彼のアルバムにヴォーカルとして参加させてもらったり、ライブツアーでスペイン各地を一緒に回ったりした。(2007年〜2009年の間)
南スペインのセビリア出身で、お母さんがフラメンコダンサーだったという彼は、いつも明るく楽しげで、本当にまさに絵に描いたようなスペイン人という感じ。
その一方で、細野晴臣さんやススム・ヨコタさんの楽曲、村上春樹さんや三島由紀夫さんの小説が好きな一面もあって、見かけによらず(いい意味で)繊細さも持ち合わせていて、それがまた興味深い。
そういえば、ツアー前の練習やライブ当日のリハーサルの時だけは、人が変わったように毎回すごくシビアだったなぁ。
2010年以降は、映画のサウンドトラックや、コンテンポラリーダンスへの音楽提供など、さらに幅広い分野で活躍中。
また、バルセロナ、行きたいな。

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Hieroglyphic Being, Sarathy Korwar & Shabaka Hutchings / Ashrams《Technicolour》
シカゴのHieroglyphic Being(ハイエログリフィック・ビーイング)と、UKジャズ新世代ドラマーSarathy Korwar(サラシー・コルワル)、ロンドンのテナー・サックス奏者Shabaka Hutchings(シャバカ・ハッチングス)の3名によるプロジェクトの作品。(みんな名前がむずかしい…)
即興ライブセッション音源を切り出してつくられたこの楽曲は、非常に艶やかであるのにも関わらず、その対極にあるザラつきも共存している、Hieroglyphic Beingの前々作『The Disco's Of Imhotep』に引き続き、彼らしい挑戦的な姿勢がしっかり伝わってくる。
今回のようなラジオ放送や、ラウンジミュージックという位置付けではないと思うんだけど、これだけはどうしてもプレイしたかったので、思い切って。
《Technicolour》は言わずもがな《Ninja Tune》傘下のロンドンのレーベル。THE 安定。
ちなみに、元のセッションはこちらで聴くことができ、こういったアプローチもかっこいいなって思う。



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Ambien Baby / AB2《Normals Welcome Records》
カナダはヴァンクーヴァーのアーティスト、D. TiffanyとDan Rinconのユニット。
こういった内向きかつ柔らかめの、ローファイなミドルハウス(勝手に命名)は、延々聴いていられる私なのです。
ピリッとアシッド要素も入ってるのも、ニクい。
コンピレーションEPで、この楽曲以外にはまだリリースはなし。今後が楽しみ。
D. Tiffany名義では、2014年に、同じくヴァンクーヴァーのレーベル《1080p》からもリリースしている。

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Cloudface / Coffee《Black Opal》
今回のMixの折り返し地点。
こちらもカナダのヴァンクーヴァーのアンダーグラウンド・ダンス・ミュージックを牽引する《Mood Hut》からもリリースしている、機材マニアで有名なCloudfaceことDavid Reynoldsのドリーミーなダウンテンポ・ダンストラック。
3年前にリリースされたLP『Untitled』のオープニングより。
同LPのラストを飾る『U & Me』もお気に入りで、後者は夏に録音した自分のDJMixにもIN。
PVもいい塩梅に輪郭があって、よい。


《Black Opal》は、イギリスのカセットテープを中心にしたレーベル《Opal Tapes》傘下のヴァイナルオンリーレーベル。本作は、レーベル2作目。

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Tolouse Low Trax / Vai Vai《Karaoke Kalk》
1994年に結成されたドイツのエレクトロ・ポップ・アヴァンギャルド・クラウト・ロック・バンドの(長い!)KREIDLERのオリジナル・メンバーであるDetlef Weinrichによるソロ・プロジェクト、Tolouse Low Trax。
“ミニマル”という軸で音楽を聴くことはなかなかないけど、こういうサウンドは嫌いじゃない。
あまり情報が出回ってない中、2016年の秋冬シーズンのPaul Smith/ポール・スミスのウィメンズコレクションのショーミュージックとして使われてたことは、確認ができた。

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Blue Heron / Paul's Blues (ft. Coyote)《Mood Hut》
前出の《Mood Hut》より、ダウンテンポトラックを中心にしたコンピレーションから、お気に入りの1曲。
全体に散りばめられているのは、『Paul's Blues』の名の通り、ジャズフルート奏者であるPaul Hornが Joni Mitchellと一緒にあの名曲『Blue』を演奏しているこちらと思われます。



それにしても、《Mood Hut》はどれも名曲ばかりで、本当にすごい。

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Odd Nosdam / Profane Bong Sue《Leaving Records》
私はDJをはじめてから、DJの知り合いがたくさん増えた。
その中で、聞く回数が過去最多であろうセリフ、それは「実は、元々ヒップホップ聴いてたんだよね...」である。
「え!あなたが?!」というような人に限って、こっそり、そう教えてくれる。
“俺は東京生まれHIPHOP育ち、悪そうな奴は大体友達”という歌詞で有名なヒップホップのイメージが、ここ数年でほぼなくなったと言ってもよい。
私は、ヒップホップを聴いてきていないけど、唯一、ロサンゼルスのインディーズ・ヒップホップのレーベル《Anticon》に所属していた、Why?とDoseone、そして、このOdd Nosdamだけはほんのり聴いてたので、多少なりとも愛着がある。
いわゆるヒップホップの定番、ではないけど、ヒップホップの"あり方"みたいなものは、当時、感じてたと思う。
今回の楽曲が収録された、昨年発売されたアルバム『Sisters』は、いい意味で、あの頃の匂いを現代に連れてきてくれている。マスタリングは、Matthew David。

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Tlim Shug / Memoir For Your Dream《Echovolt Records》
LegoweltやSimoncinoなどのリリースもしている、ギリシャはアテネのレーベル《Echovolt Records》のコンピレーション。
今回のTlim Shugの楽曲以外は、ローファイハウスが中心で《100%Silk》の雰囲気が強く、それはそれで◎。
Soundcloudにアップされている彼自身の楽曲はどれもセンス抜群。
ちょいちょい笑わせようとしてくるようなユーモアがあるのも最高。 (ってそんなつもりじゃなかったらごめんなさい)



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EmE / Canopy《Circuitree Records》
この音源に関しては、とにかく、情報がない。
レーベルのサイトはドメインの有効期限が切れてるし、SNSまわりも2015年を最後にストップ。
かろうじて、マイアミのレーベルだということはわかる程度。
私もどうやってこの音源にたどり着いたのか、忘れてしまった。
たまに、こういう謎の存在や出会いがあるのもDJの醍醐味だったり。

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坂本龍一[Ryuichi Sakamoto] / 美貌の青空[Bibo no Aozora]《Güt / For Life Records》
度々、現場でもかける教授の楽曲。
中でもこの『美貌の青空』は、メロディとコード展開が非常に美しく、時代を超えた名曲のひとつだと思います。(あと『Ballet Mécanique』も!)
この楽曲が素晴らしいのは、その”美しさ”だけでなく、その向こう側にある、手の届かないもどかしさや、目に見えている事象の危うさ、知らない間に押し殺してしまっているかもしれない気持ち、みたいなものが、全部同じ瞬間瞬間で混ざり合っているから。
「音楽」というツールを使って、時にキャッチーに、時にヘヴィーに、私たちに感じる/考える時間を与えてくれる教授。そして、細野さんと幸宏さんも同じく。
あらためて言うまでもないけど、YMOの3人は、永遠にリスペクト、です。

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Shigeto / Huron River Drive (Evenings Remix) 《Ghostly International》
最後の方は柔らかい雰囲気にしたかったので、久しぶりに、Shigetoさんの楽曲をチョイス。
フェミニンな雰囲気たっぷりのエレクトロニカ・サウンドの中に、しっかりとした太いボトムが鳴り響く。
そのバランスがとても心地よく、かつ、展開がすごくロマンチックで、聴くたびに、毎回からだがとろけそうになる。
おばけのアイコンで有名なレーベル《Ghostly International》は、Gold Panda、School Of Seven Bells、Com Truiseなど、私がDJをはじめた2010年頃によく聴いていた。
特に、Gold Pandaのアルバム『Lucky Shiner』は、繰り返し聴きまくっていて、やっぱりからだがとろけそうになっていた。

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D.K. / Evening Shadows《Antinote》
先にも出てきたD.K.のセカンドアルバム『Island of Dreams』より、あたたかみのあるトロピカルサウンドが特徴的なトラック。
フランスのレーベル《Antinote》からは、同じくパリ在住のDomenique Dumont(こちらもトロピカルかつキュートなローファイダンスミュージック)や、岡山在住のInoue Shirabe(現在の名義はSHIZKA)など、素晴らしいアーティストの作品がリリースされている。
去年パリに行った時、いろいろタイミングが重なって、レーベルオーナーのZaltanに少しだけ会う機会があったのだけど、自由で、気さくで、すごく楽しい人だった。
5年目を迎えた《Antinote》、これからも楽しみ。

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Mixcloudでも聴くことができます。






2017年12月17日日曜日

渋谷《カフェ・アプレミディ》にて、青野賢一さんと / 2017.12.22(金) 20:30〜

※こちらの記事は、HOUYHNHNMブログ『Escape by Melody《メロディによる逃走》』に掲載されていた内容です。


今週金曜日は、渋谷の《カフェ・アプレミディ》で。
《Beams》のクリエイティブディレクターである、青野賢一さんとご一緒します。
青野さんは、DJの時はもちろん、とにかく「佇まい」がいつも素敵で、
「あ、かっこいい大人って、青野さんのことを言うんだな」と出会って間もなくして思いました。


1974年、写真家のTerry O'Neill(テリー・オニール)は、餌に向かって飛び跳ねる犬にまったく動じなかったDavid Bowieに驚いた、という話があります。


青野さんがこの状況で驚かない、ということではないのですが...
まるで、どの瞬間を切り取ってもハンサムなDavid Bowieのような存在です。
ずっと大好きで、ずっと憧れの人です。



そして、《カフェ・アプレミディ》のオーナー、橋本徹さん。
私が「ネオアコ」(ネオ・アコースティック)という音楽のジャンルを知るきっかけになったアルバム『ネオ・アコースティック・ドリーム~ジャスト・ア・ガール』を監修した方です。



《The Smiths》とか《XTC》は聴いていたけど、「ネオアコ」というくくりで聴くこと自体が、私にとってはとても新鮮でした。
すごく軽快で、少しだけ夢のようで、楽しげなのにどこか寂しげで・・・。
「ネオアコ」の独特な雰囲気に包まれて、揺らめいていました。
と同時に、この時、私はまだDJはしてなかったけど、自分の知ってる音楽が少しずつ細分化されていく感じがおもしろいなぁと感じていました。

特に、このアルバムがきっかけで《The Lotus Eaters》が大好きになり、ほぼすべての音源を手に入れ、最終的には本人とも(myspaceを通じて)コンタクトをとって、自分の想いを直接伝えたこともありました。(わりと追っかけ体質)


橋本徹さんと言えば、「フリー・ソウル」のイメージが強いみたいですが、私にとっては「ネオアコ」の方がずっと印象深いんです。
そんな橋本さんのお店《カフェ・アプレミディ》でのDJということで、身が引き締まる思いです。
「ネオアコ」も含めた、この時期らしい雰囲気の様々なジャンルの音楽をたくさん詰め込んで行こうと思います。



ミュージックチャージはありません。
どなたでも、どうぞお気軽にお越しください。
《カフェ・アプレミディ》は、良質な音楽が流れているところはもちろん、
お酒も美味しいところもお気に入り。:)




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12.22(fri) 20:30- Friday Lounge at Café Après-midi

渋谷にある老舗カフェ、Café Après-midiが公園通りで1999年にオープンしてから18年経ちました。11月のアニバーサリー月間も終わり、12月からはサウンドシステムも大幅リニューアル。メインミキサーもUREIをインストールし、ますます居心地の良い空間となりました。

今年最後の第4週のFriday Loungeは年末に相応しい素晴らしいDJ、青野賢一さんとDJ Emeraldをお呼びしました。アップグレードした音響で2人がどんなレコードを鳴らしてくれるのか今から楽しみです。もちろんレジデントである橋本徹さん、haraguchic、taximayaもDJします。終電前のひと時を過ごすのも、終電後のウォームアップバーとして利用していただくのも、自由に楽しんでいいただけます。ミュージックチャージは無料です。

金曜日はいつものようにCafé Après-midiでお待ちしております!


■2017.12.22(fri)20:30-2:00
Friday Lounge at Café Après-midi
Charge:FREE
http://apres-midi.biz/

GUEST DJ
青野賢一
DJ Emerald

DJ
橋本徹
haraguchic
taximaya

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2017年10月15日日曜日

バレアリック・パーク、Suzanne Kraft、ÉtudesとパリのAM

※こちらの記事は、HOUYHNHNMブログ『Escape by Melody《メロディによる逃走》』に掲載されていた内容です。




先日、渋谷のWWWとWWWβ で行われた"Balearic Park"。

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*バレアリックとは?:1980年代の終わり頃より、ダンス/パーティー・カルチャーの聖地として発展したスペインのイビサ島で生まれたダンス・ミュージックのスタイル。特定のカテゴリにこだわらず、オープンマインドな精神に基づいたミクスチャーな選曲が特徴。パーカッシヴなもの、ユーロ・テイストなものが望ましい。基本的にテクノ、ガラージと定義できるものには使わない。「クラブミュージックの文化史」より
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「AMBIENT AREA / アンビエントエリア」としてWWWのメインフロアを贅沢に使い、セカンドフロアのWWWβの方を「DANCE AREA / ダンスエリア」として構成。
タイプの違う熱量を、同じ時間軸で体感できる/行き来することのできる、とても素晴らしい一夜でした。

今回、「DANCE AREA / ダンスエリア」の方に出演していた、LA出身/アムステルダム拠点に活動しているSuzanne KraftのDJセットは、2014年にリリースした彼自身のEP"Tracks For Performance"を思わせる魅惑的な攻めのダンストラックばかりで、とにかく、最高でした。
Suzanne Kraftといえば、どちらかと言うとアンビエントのイメージの方が強いので、だからこそ、今回のギグはとても貴重でした。
(インスタに写真をアップしたら外国の方から「君はラッキーだね!」というコメントもついたり)

ちょうど昨年の今頃、幡ヶ谷のforestlimitで行われた、彼自身もリリースをしているレーベル《Melody As Truth》のオーナーJonny Nashとのアンビエントセットのライブも、思わずため息がこぼれてしまうほどの、美しい世界感でした。
そんな彼の新しいアンビエントのDJmixが、つい3日前にアップされていました。




ウクライナの女性作家Ihor Tsymbrovsky(イーホル・シンボロフスキー、って読むのかな)による、1996年発表のピアノが印象的な異国情緒溢れる楽曲から、『東京ラブストーリー』『ひとつ屋根の下』などのサウンドトラックを手がけている日向敏文さんの楽曲まで、文句なしの珠玉の52分22秒。

今回のDJmixは、パリとニューヨークを拠点とするメンズを主にしたファッションブランド《Études》とコラボレーションしたもので、そもそもファッションやアートに関わるサウンドデザインを手がけている、パリのチーム《AM》がプロデュースしている模様。
《Études》の他のDJmixもどれも心地よさそうだし、《AM》の他のプロダクトもかなり見応えがありそう。




▼《AM》Tumblr
https://amsoundesign.tumblr.com/

▼《AM》Instagram
https://www.instagram.com/_____________am_____________/