2018年9月17日月曜日

9月の私は、Twin Peaksと、Friday Loungeと。

※こちらの記事は、HOUYHNHNMブログ『Escape by Melody《メロディによる逃走》』に掲載されていた内容です。


1ヶ月くらい前から、90年代はじめに大ブレイクしたアメリカのTVドラマ「ツイン・ピークス(Twin Peaks)」に夢中です。
昨年、25年ぶりの時を経て「続編」が公開されたらしいのですが、そんなことはまったく知らず、「何か映画観たいなぁ。(もともと映画を借りるつもりだった)あ、ずっと気になってたツイン・ピークスにしようかな」くらいの軽い気持ちでした。
その日から連日のように、TSUTAYAでDVDを借りては観る、返却してはまた次を借りて続きを観る、の繰り返し。
最近やっと「本編」を終え、「続編」の方へ足を踏み入れたところです。

「本編」を見ているあいだは、街中や電車の中の人たちを「ツイン・ピークス」の配役に当てはめてしまったり、夢の中までもが「ツイン・ピークス」一色になってしまうほどでしたが、9月に入ったくらいでそれもなくなり、少し落ち着いてきました。
(引っ越した先で、新調したカーテンを深めの赤色にしてしまったけど…)

「ツイン・ピークス」は、作品ももちろんですが、サウンドトラックも非常に素晴らしく、暑い夏が終わって涼しくなってきた今のこの気候を美しく彩りつつ、妖艶に絡み合って景色の中へ馴染んでいきます。
現実と夢の狭間にいるような、冷たいような生温かいような…。
ただ、想像するに、おそらく、どの季節にもマッチするんじゃないかな。
だからこそ、当時、世界中で大ブレイクしたんでしょうね。

「ツイン・ピークス」だけではないですが、この90年代初期の頃って、すべての事象の「輪郭」がぼや〜っとしていて、本当に魅力的です。
90年代初期、と敢えて言うのは、その後、デジタル化(ネットワーク化)が急成長することに起因します。
80年代のぼや〜っも大好きなんですが、90年代初期は、特にこの「見えない力」に引っ張られていく過程、という感じが強烈です。
あらゆるところで綱引きをしているみたい(実際には綱じゃないけど、とにかく引っ張り合っている感じ)と言うか、こう、地球全体の時空が少し歪んでいるように見えるというか...。
そんな感覚が私の中にずっとあったのですが、この作品に出会って、それが確かなものになって、すーっと溶け合って、一体化しました。(「ツイン・ピークス」と私がね)

というわけで、「ツイン・ピークス」については、まだ道/未知の途中なので、まだまとまらない部分も多いので、また追って、別の機会に。



そんな80〜90年代のど真ん中に、Aphex Twinのリリースで知られるレーベル《APOLLO》など国内外にて楽曲を発表する、私が心から尊敬する音楽家であり、隠れた映画評論家(と、私が勝手に思っている)でもある巨匠・白石隆之さんと、ネットラジオ《dublab.jp》でのHi-Rayくんの番組で知った音楽家のYAMAANさんを迎えた『Friday Lounge』を、今週金曜日(9月21日)に開催します。







それぞれ個人的にお誘いしたのですが、実は、おふたりは10年ほど前から知り合いだそうで、2011年にYAMAANさんがリリースしたアルバム『12 Seasonal Music』に白石さんがコメントを寄せていた、という奇跡がここでも起きていて、うれしい偶然が続くばかりです。
おふたりが「ツイン・ピークス」を見たかどうかはわからないけど、あの時代ならではの雰囲気や感触みたいなものは、きっと共感していただけるんじゃないかなと、密かに思い描いています。
当日、いろいろお話ししてみたいと思います。

私の担当の『Friday Lounge』は、奇数月の第3金曜日なので、今年も残すところ、あと2回。(『Friday Lounge』についてはこちらからどうぞ)
この日は、いろんな「輪郭」が楽しめる夜になると思います。
秋の夜長に、ぜひ、ゆったりと、揺らめきにいらしてください。
心よりお待ちしております。



▼Infomation
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Friday Lounge

2018/9/21 fri at Café Apres-midi
OPEN / START 20:00
CHARGE: 500YEN

Guest DJ:
白石隆之
YAMAAN

DJ:
maa [Hamon Radio]
DJ Emerald
Toru Hashimoto [SUBURBIA]

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日本初のインディーズ・レーベル《Vanity Records》よりBGM名義で、また、Aphex Twinなどで知られるテクノ名門レーベル《APOLLO》よりPLANETOID名義で、1980年代より国内外問わず楽曲リリースし、圧倒的に研ぎ澄まされた感性と、技術、知識をすべて持ち合わせる白石隆之氏の大変貴重な「非ダンスフロア」でのDJセット。
そして、日本の12ヶ月の季節の情景を表現したアルバム『12 Seasonal Music』で知られる、ヒップホップからアンビエントまでを自由に行き来するトラックメイカーYAMAAN氏のDJセットでお送りします。
“あるべき偶然”が漂い、淡い青色の月が夜空に浮かぶ、9月の第3金曜日へ。
心よりお待ちしております。



about《Friday Lounge -The Third Monday of the month-》
2018年の毎月第3金曜日は、渋谷と原宿のちょうどあいだに位置するビルの5階「Café Apres-midi」にて、maa、Wataru Sakuraba、DJ Emeraldの3人のDJによる「Friday Lounge」を開催しております。



2018年8月4日土曜日

代官山『OFF』オーナーSakaiさんのパーティ《Kompas》at 中目黒solfa

※こちらの記事は、HOUYHNHNMブログ『Escape by Melody《メロディによる逃走》』に掲載されていた内容です。


先日、坂本龍一さんがお気に入りのレストランの音楽があまりにも酷いため選曲を引き受ける、というニュースがありました。
私も(レストランに限らずですが)あらゆるところで、かなりこの問題にぶちあたります。
「自分だったらああするのになぁ」と思ったことも、数知れず。
だから、この提案をさらりと実現させてしまうこのニュースを知ったとき、変に親近感が沸きつつも、さすが教授だなぁ・・・と心底感心しました。
ほんと、かっこよすぎる。



代官山にある『OFF』は、私のお気に入りのヘアサロン。




photo: OFF


『OFF』は私にとって、偶然見つけた場所なんだけど、たった一度行っただけでお店の雰囲気がものすごく気に入ってしまって、それから数年、今でもずっと通っています。
もちろん、雰囲気だけでなく、技術面とか、従業員の子がみんなチャーミングとか、そういうのも含めて全体的に大好きなんだけど、圧倒的に今までのヘアサロンと違うのが、店内に流れるBGM。
一番印象に残ってるのは、アーサー・ラッセル(Arthur Russell)関連が流れてたこと。(別のアーティストのカバーとかも含めて)
このあいだ行ったときは、ウィル・ロング(Will Long)が流れてたっけ。
そして、『OFF』はビルの最上階にあって、窓も多く、風通しがよくて、移り変わる外の天気とのミラクルが、常に起きてるような感じがします。
毎回、その居心地の良さに、うっとりしてしまいます。
(あと、少し細かいことかもしれないけど、音のボリュームも絶妙)



そんな素敵なBGMを選曲をしているのが、『OFF』のオーナーのSakaiさん。
美容師としてのキャリアだけでなく、DJとしてのキャリアも長いSakaiさんの主催のパーティ《Kompas》が明日、中目黒solfaで開催されます。
メインフロアのゲストには、世界中を飛び回るDJ Sodeyamaさんが出演します。
なんでもおふたりは、20年以上付き合いのあるお友達だというからびっくり。


SakaiさんのInstagramのコメントより引用
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彼此22年前くらい、DJとしては僕の中では一番古い友人にあたると思います。
若かりし頃、僕も憧れた世界であり、最も成功するのが難しい世界で常に第一線で活躍し続け、世界を股にかけ、我が道を進んで行く姿は格好良いです。
=================

しかもSodeyamaさんは、ストイックなDJプレイからは想像がつかないフレンドリーさを持ち合わせているのも、素敵なところのひとつです。


そして、ラウンジフロアのゲストには、《Beams Records》の青野賢一さんをお迎えします。
青野さんについては、以前のこちらの記事にも書いたとおり。
いつどんなところでばったり会っても、常に「ハンサムな佇まい」なのには、本当に驚きます。

言うまでもないですが、もちろん、青野さんのDJも大好きです。
今年は、毎月DJMixがアップされるので、すっかり楽しみのひとつになっています。





明日の夜は、是非《Kompas》へ。
最高気温37℃(予報)の日中を越えた後、至上の音楽のシャワーを浴びにいらしてくださいね。




▼Infomation
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2018/8/5(sun) “kompas” at solfa[中目黒]
OPEN / START 18:00
CHARGE: ¥2500/1D

-Room 1-
DJ Sodeyama [ ARPA records / трип ]
Wataru Sakuraba
Sakai [ KOMPAS / parallel ]
Nancy [ KOMPAS ]

-Room 2-
Kenichi Aono [ BEAMS RECORDS ]
TEN
Shunhoriki [ Friday Lounge / i niche ]
DJ Emerald

VJ – Miki Yoshioka

Food – Alice da 食堂

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2018年7月21日土曜日

《ロブスター・テルミン》レーベルショーケース|Lobster Theremin 5 years in Tokyo

※こちらの記事は、HOUYHNHNMブログ『Escape by Melody《メロディによる逃走》』に掲載されていた内容です。


ロブスター・テルミン〈Lobster Theremin〉。

世界初の電子楽器「テルミン」を演奏するかのように、1本の手が「ロブスター(ウミザリガニ)」を操る、愛おしい手書き風のイラストが特徴のロンドン発のこのレーベルは、傘下に〈Mörk〉〈Distant Hawaii〉〈Tidy Bedroom〉という3つのレーベルも持ち、2017年にはレコードショップまでオープンし、ここ数年、ものすごい勢いで拡張し続けている。

また、流通(ディストリビューター)としてのセンスもとっても素晴らしく、数え切れないほどの楽曲を世にリリースしていて、そのファンも世界中に数多く存在する。
私もどちらかというとそのクチで、楽曲を買ったあとで「あ、これロブスター・テルミンがディストリビュートしてるんだ」と知ることがたまにある。

先日、《Pioneer DJ Radio》に提供させていただいたDJmixの序盤で流れるAquatic Languageの「Départ」という楽曲も、Lobster Distributionシリーズのひとつ。
また、中盤で流れるBlair Sound Designの「Overheated」という楽曲は、Lobster Thereminからリリースされているもの。
「星のカービィ」の音がサンプリングされてて、つい顔がにやけちゃう。








基本的にダンスミュージックがメインで、その中でもハウスが一番の軸にはなっているんだけど、ロブスター・テルミンの最高の強みは何と言っても「曲者なのに、どこか人懐っこさがあるところ」に尽きると思う。
楽曲ももちろん、アートワークも含めて、「マニアックな要素」と「キャッチーな要素」のバランスがとにかく絶妙。
あと、このレーベルロゴがそうであるように、「こんなレーベル」と簡単に言いあらわせないところがまた魅惑的でとてもよい。
「なんだろう?」と思うことからすべてがはじまることを忘れてしまう大人になんて、絶対になりたくないもの。

そんなロブスター・テルミンのレーベル設立5周年を記念して、今夜、渋谷Circus Tokyoにて、初来日となるレーベルのボスであるAsquithと看板アーティストのRoute 8を迎え、盛大にお祝いしたいと思います。
いやー、楽しみ。






ちなみに、ロブスターを捕まえる夢を見るのは、いいことが起こる兆しみたい。
信じるか信じないかは、あなた次第だけど。



▼Infomation
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ロンドン発、次世代ハウスシーンをにぎやかす才人を多く発掘するLobster Theremin(ロブスターテルミン)。今年で設立5周年を迎える新興レーベルのボスであるAsquithと看板アーティストのRoute 8が一挙初来日、レーベルショーケースが開催!


LOBSTER THEREMIN 5YEARS IN TOKYO
2018.7.21(SAT) OPEN: 23:00

LINE UP:
-B1 FLOOR-
Asquith (Lobster Theremin)
Route 8 (Lobster Theremin / Nous)
Romy Mats (解体新書 / N.O.S.)

-1st FLOOR-
Sayuri  
DJ Emerald
DJ Razz
T4CKY 

DOOR: 3,000yen
ADV: 2,500yen

TICKETS on RA, Peatix

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Asquith (Lobster Theremin / from London)
ロンドン発、新興レーベル兼ディストリビューターとして近年めきめきと勢いをみせるLobster Theremin(ロブスターテルミン)。そのレーベルボスであるJimmy Asquithは、2013年にレーベルLobster Thereminを設立。Lobster Theremin傘下に3つのレーベル、Mörk、Distant Hawaii、Tidy Bedroomも始動し、また、エレクトロミュージックシーンではグローバルに知られるディストリビューターである。2017年1月にはハックニーにレコードショップ実店舗もオープンさせた。
ロンドンのCorsica Studiosでのパーティー"FIND ME IN THE DARK”は毎回ソールドアウトになるほどの人気ぶりで、Asquithは常に新しい才能をサポートし、Discwoman、Workshop、Antinoteなどとのコラボレーションも行なっている。
海外ツアーをこなしながらも、Rinse FMでレギュラーを担当し、Tom HangやChicago Flotation Deviceといったアーティスト名義でリリースを重ねている。2017年12月にTom Hang名義でのデビューアルバム『To Be Held In A Non Position』をリリース。
今年でレーベル設立5周年を迎え、ロブスター・テルミンのレーベルショーケースとしてのツアーを展開している。
Jimmy Asquith founded the well-renowned label Lobster Theremin in 2013. Since then the label boss has established three imprints including; Mörk, Distant Hawaii and Tidy Bedroom, as well as a respected distribution service used widely within the electronic music scene, and a physical record shop based in Hackney, East London.

Alongside the label, Asquith continues to sell out his Corsica Studios based night Find Me In The Dark, which champions emerging talents and sees collaborations with the likes of Discwoman, Workshop and Antinote. DJing internationally, Asquith simultaneously is producing and performing under multiples aliases all whilst holding down a regular Rinse slot.

On top of that, Asquith’s personal and ambiguous ambient alias, Tom Hang, will be releasing his debut album this December following a heart-wrenching Cafe Oto performance. Part ambient, drone, noise and a tapestry of clouded, intermingling emotions, ‘To Be Held In A Non Position’ is a three-and-a-half year release from stasis; an exhale from a long-held breathe; a shallow sleeper now awake.

On a DJ tip, increased gigs have led to a stylistic shift, a move back to UK-oriented sounds blended with old-school US influences and plenty of new names and talent littered throughout the set lists, alongside occasional older selected digs from the garage-house trove.

The start of 2018 will see a solo Asquith jaunt of North America as well as a Lobster Theremin debut showcase at Motion on January 20th, kicking off the 5 Years of Lobster Theremin European tour.
https://lobstertheremin.com/

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Route 8 (Lobster Theremin / Nous)
ハンガリー、ブダペストのDJ/プロデューサー、Route 8。Lobster ThereminやNousからのリリースによって、その名を知られるようになったが、ハードウェアを使っての音楽制作とその探求は10年以上前から始めている。USのロウなハウスやテクノからインスパイアされた、メランコリックなメロディーと巻き込むようなドラムパターンで、エレクトロやアンビエントまで拡大解釈できるオリジナルなサウンドを追求している。DJ CidermanやQ3Aという名義でも知られる。
Route 8 has only recently gained prominence through the Lobster Theremin and Nous labels, but his hardware production experiments date back almost 10 years. Inspired by the raw-edged US house and techno sound, he has also expanded his work into off-kilter electro and ambient, still inflicted with his melancholia-tinged melodies and ratcheting drum patterns.
https://soundcloud.com/route8


*Photo ID required.
*You must be over 18 to enter.
*No re-entry.
*Please do not bring food and drink.

■CIRCUS Tokyo
3-26-16, Shibuya, Shibuya-ku, Tokyo 150-0002 Japan
+81-(0)3-6419-7520
info@circus-tokyo.jp

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2018年7月19日木曜日

《Friday Lounge》at 渋谷カフェ・アプレミディ|You Forgot&Nariを迎えて

※こちらの記事は、HOUYHNHNMブログ『Escape by Melody《メロディによる逃走》』に掲載されていた内容です。


今年の《Friday Lounge》も、早いものでもう折り返し。

後半は、7月、9月、11月の第3金曜日を担当します。(前半は偶数月だったのです)
7月の開催は、もう明日。そう、もう明日。

ゲストには、まず、神様みたいな、妖精みたいな存在のYou Forgotくん。


彼とはじめて会ったのはいつだったか…(忘却…これは私の特技…)なんだけど、とにかく印象的なのが、去年の6月、Mr.G来日公演の時のContact Tokyoのセカンドフロア(CONTACT)。
私の次がYouくんで、Crue-L Grand Orchestraの「(You Are) More Than Paradise (Theo Parrish Translation Long Version 1)」(たしか、こっちのバージョンだったはず)に、レコードの針を落としてパスをしたその後。
彼のロングミックスの華麗さに、同じブースの中で惚れ惚れしたあの光景。これが、ひとつめ。
もうひとつは、さらにそのまま続いた朝までの時間、ぜんぶ。
真裏のメインフロア(STUDIO X)での、Ryosukeさんのプレイも体験しつつだったから、途切れ途切れにはなっちゃったけど、あの日、Youくんが書き上げたひとつの短編小説みたいな空間は、特別なものだった。
(音が止まった後、思わず興奮気味にYouくんに感想を伝えてた記憶あり。これは覚えてる。)





そして、もう一人のゲストは、近年、人気急上昇中のハウス・ミュージック・コレクティブ《CYK》から、Nariくん。



《CYK》を構成する他のメンバーは、Kotsuくん、DJ No Guaranteeこと平井くん、Naoki Takebayashiくん。
全員がDJで、宣伝部長で、クラウドであるこの集団は、今のクラブシーン(「ハウス」を軸にしていろいろな場所)をかき回す、エネルギーに溢れたコミュニティ。
それぞれにセンスがないと成立しないことはもちろんなんだけど、それ以前に、ひとりずつのキャラクターがはっきりしてるのもあって、The Beatlesみたいだな、とひっそり思っていたり。
Nariくんがポール、Kotsuくんがジョン、平井くんがジョージで、竹林くんがリンゴであることは、誰の目から見ても明らかでしょう。

天才バカボンの作者、赤塚不二夫先生がこんなことを言ってた。
「どんな映画も、”若い時”に見なくちゃダメなんだ」と。
“若い時”にしか「感じられないこと」がある、ということだと思うんだけど、彼らの活動を見ていると、それがすごくいい形で映し出されていて、爽快な気分になる。

Nariくんとの出会いも、去年のContact Tokyo、Leon Vynehallの来日公演のとき。
私の前にプレイをしてたんだけど、現場を冷静に見て、雰囲気をコントロールしていたのをよく覚えてる。
彼のその"さりげなさ"は目を見張るものがあって、存在感を出すこともできるし、消すこともできる、魔法使いみたいなDJだなと思う。




というわけで、「聴いてよし」「踊ってよし」のバランスがとれたDJお二方を迎えた、7月の第3金曜日の《Friday Lounge》は明日です。
どうぞお楽しみに!



▼Infomation
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Friday Lounge

2018/7/20 fri at Café Apres-midi
OPEN / START 20:00
CHARGE: FREE

Guest DJ:
You Forgot [UGFY]
Nari [CYK]

DJ:
maa [Hamon Radio]
DJ Emerald
Toru Hashimoto [SUBURBIA]

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抜群のバランス感覚と繊細な審美眼で、一瞬たりともフロアの空気を取り逃がすことなく、フロアを愛でるようにプレイするDJ/You Forgotと、次世代のハウスシーンをリードするコレクティブ《CYK》に所属し、今年、世界基準の野外パーティ《rural》への2度目の出演も決定しているDJ/Nariを迎えて。
ダンスフロアの出演がメインの彼らが作り上げる「セカンドフロア」に、この上ない期待が高まる、貴重な第3金曜日の夜へ。
どうぞお気軽にお越しください。



《Friday Lounge -The third Monday of the month-》
2018年の毎月第3金曜日は、渋谷と原宿のちょうどあいだに位置するビルの5階「Café Apres-midi」にて、maa、Wataru Sakuraba、DJ Emeraldの3人のDJによる「Friday Lounge」を開催しております。


2018年6月5日火曜日

東京湾の上で|Jicoo The Floating Bar

※こちらの記事は、HOUYHNHNMブログ『Escape by Melody《メロディによる逃走》』に掲載されていた内容です。



今週末の土曜日は、「銀河鉄道999」「宇宙戦艦ヤマト」でおなじみの漫画家・松本零士さんのデザインした船『Jicoo The Floating Bar』にて、ミュージックセレクターとして出演します。
『Jicoo』は、東京湾に浮かぶ、船上バー。
七色に光る宇宙船の船内からは、海抜0メートルの動く東京湾の夜景を楽しむことができます。
『Jicoo』でしか体感することのできない、幻想的な、非日常空間。
柔らかな波の揺らぎと、心地よい音楽で、体だけでなく、心ごと、うっとりしにいらしてください。





『Jicoo』といえば、ちょうど3年前の6月5日、ロサンゼルスの音楽プロデューサー、Leechの来日公演を行った際、会場のひとつして利用させていただきました。



LeechことBrianは、エレクトロニックミュージックを軸にして、長年、演奏はもちろん、アレンジやエディットなど幅広く活動している大ベテラン。


LEECH - TUSKS teaser from 100% Silk on Vimeo.


来日公演の「主役」はもちろん、来日する張本人なんですが、全5公演のうち1公演は「日本の文化を体感してもらうこと」をテーマにして、「雅楽」とのコラボレーションを企画しました。
前例のない、まったく想像できない異空間。
それが実現できるのは、『Jicoo』以外に考えられませんでした。


雅楽の演奏をお願いしたのは、「篳篥(ひちりき)」という小さな縦笛のような楽器の演奏者、三浦元則くん。
東京藝術大学非常勤講師も務めています。



「笙(しょう)」の演奏者である三浦はなちゃんと、龍笛(りゅうてき)の演奏者である纐纈拓也くんを率いて、雨が降る東京湾の船上という別世界を、さらに上回る特別な異空間へと、みんなを連れ出してくれました。
船内にいる人たち全員が、雅楽特有の洗練された音の重なりに、ゆっくり手を差し伸べるように、意識をすーっと集中させて、聴き入っていました。



雅楽の演奏の後は、LeechのDJセットがスタート。
余韻を残しつつも、徐々にパーティモードへ持って行く彼のプレイは、さすがの一言。圧巻でした。
いつの間にか、船内の真ん中で、ダンスをする人たち。
その中に、さっき篳篥を演奏していた元則くんが登場。(和装から洋服へ早着替え)
ハウスダンスを、とにかく軽快に、楽しそうに、自由に踊る踊る。

雅楽のグルーヴ(って言っていいのかわからないけど)と、ハウスのグルーヴの両方を持ってる人なんて、他にいるのかしら?
どっちの元則くんもものすごくかっこよくて、人柄もとても魅力的で、一緒にいてとても居心地がよくて。(当時、事前打ち合わせのために焼肉屋さんに行ったときも、ついつい長居した記憶…)
彼に会うたびにいつも、「素敵な人だなあ…」と、心惹かれる自分がいます。
そして、世界最古のオーケストラとも言われ、無形文化遺産でもある日本が誇る伝統音楽でありながら、現代の日本の中では馴染みのない雅楽の世界へ、さりげなくエスコートしてくれる彼に、心から感謝します。

本当にこの日は、奇跡の夜、としか言いようのない、素晴らしい一夜でした。




この日以外にも、『Jicoo』の思い出はいくつかありますが、続きは船の上でお話ししましょう。;)




▼Information
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2018.6.9(土)
at Jicoo The Floating Bar[東京湾上]
18:30-23:00

■Artist
MUSIC SELECTOR
Emerald, Chloé Juliette, methyl., Ryota Uehara, Takahiro Haraguchi

■Departure time
日の出桟橋 / Hinode Pier | 19:00 20:00 21:00 22:00
お台場海浜公園 / Odaiba Seaside Park | 20:30 21:30 22:30

■Charge
2,600yen
*料金にはフローティングパス・消費税が含まれます

■Access





2018年4月23日月曜日

《designsix LONDON》ポップアップストア at 新宿NEWoMan|ニュウマン

※こちらの記事は、HOUYHNHNMブログ『Escape by Melody《メロディによる逃走》』に掲載されていた内容です。




新宿『NEWoMan』の1階、ロンドン生まれのアクセサリー《designsix LONDON》の期間限定のポップアップストアで、DJ/ミュージックセレクターを担当します。
ロンドンでは「ヴィクトリア&アルバート博物館」や「テートモダン」など、日本国内では「原美術館」や「21世紀美術館」、「MoMA DESIGN SOTRE」などに並んでいる、トレイシー・ワトソンによるかわいらしいデザインのアクセサリーたちに囲まれて。


《designsix LONDON》のアイテムは、植物を連想させるようなものもあれば、無機質でつるんとしたものもあったり、色味も、形も、質感も、ひとつずつすべて違っていて、自分のお気に入りを見つけるのが楽しくなる。
そして、お手軽な値段なのもうれしい限り。
また、「SPRiNG」「リンネル」などのファッション誌やCMなどの広告でも活躍中の人気モデル・Kanocoさんとのコラボレーションアイテムも先行販売。



彼女のブログからも《designsix LONDON》への愛情がとてもよく伝わってきます。


私がDJを担当するのは、4月29日(日)の15時〜18時頃。
ブルーボトルコーヒーの隣のスペースで、どなたでもお立ち寄りいただけます。
ちょうど2年前に行ったロンドンへ想いを馳せつつ、アクセサリーを手に取ったときと同じように、思わず心がワクワクするような空間を演出できたらと思います。

今日、ひとつリングを買ったけど、まだまだ気になるアイテムがあるので、それはまた当日選ぼうっと。
本当に、いくつもいくつも欲しくなっちゃう。困った!:)


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『designsix LONDON』POP-UP STORE

期間:2018年4月9日(月)〜5月7日(月)
会場:NEWoMan SHINJUKU 1F/lab.


▼designsix LONDON
WEBサイト:http://www.designsix.jp
Instagram:https://www.instagram.com/designsix/
Twitter:https://twitter.com/designsix
Facebook:https://www.facebook.com/designsix

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ちなみに、京都の祇園町(八坂神社付近)には、《designsix LONDON》のスタンドカフェ&バー/コンセプトショップ《standsix/GATHER out of time》があるそう。
アイテムがあるのはもちろんのこと、店内にターンテーブルと真空管ミキサーがあるみたいで、雰囲気もとてもよさそう。
今度、京都に行くときは寄ってみよう。:)

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▼standsix/GATHER out of time
WEBサイト:http://www.gather-outoftime.jp/
Instagram:https://www.instagram.com/gatheroutoftime/
Facebook:https://www.facebook.com/gatheroutoftime

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「ロンドン」から連想する曲を選ぶには、「ロンドン」は、あまりにも有名すぎる。
ただ、単純に「ロンドン」という言葉を聞いて、真っ先に思い浮かぶのはこの曲。
歌っている女性は、ブラジル/サンパウロのシンガーソングライター・シベーリ(Cibelle)。
2006年に発売された『The Shine Of Dried Electric Leaves(邦題:デンキ仕掛ケノ枯葉) 』というアルバムに収録されています。
当時、ブラジル音楽に興味があって、このアルバムはよく聴いてたなぁ。
原曲は、彼女も(私も)尊敬する、ブラジル音楽界の巨匠、カエターノ・ヴェローゾ(Caetano Veloso)によるもの。

––––––––ロンドンをひとり歩き回る私は、何かを恐れることもなく、孤独をマイペースに楽しんでいる。それなりに幸せなことや悲しいことがある中で、私の瞳は、空飛ぶ円盤を探している...。

歌詞は、こんな感じかな。
この地に足つかない雰囲気がたまらないよね。


"London, London" video by Cibelle feat. Devendra Banhart

Caetano Veloso  - London London

2018年4月14日土曜日

アルヴィン・ルシエ、「音楽」と「言葉」の境界線

※こちらの記事は、HOUYHNHNMブログ『Escape by Melody《メロディによる逃走》』に掲載されていた内容です。




先週、アルヴィン・ルシエ(Alvin Lucier)のライブに行ってきた。
「音楽家」という言葉ひとつでは、表現しがたい彼の存在。
エヴァー・プレゼント・オーケストラ(Ever Present Orchestra)を率いてのそのパフォーマンスは、今までに体感したことのない、未知の領域そのものだった。
「前衛的」とか「反発」といった、ただ固定概念をぶっ壊すようなものではなく、すべてをひとつずつ解体し、それらを丁寧に再構築し、時間軸を超えたスピードで、ものすごくゆっくりと(厳密に言うと「ゆっくり」なはずなのに過ぎていく時間はあっという間、という不思議な感覚)私たちの目の前で繰り広げられた。
それは「表現」ではなく、「会話」であり「問いかけ」だった。
会場にいる人たちは意識を集中させ、ルシエの提示を見逃さないように、聞き逃さないように、感じ損ねないように、注意深く凝視していた。(中には目を閉じている人もいたけど)
あの時、流れていた時間こそが、私たちの『本質』であると、確信した。







私たちは、生まれてきたときは、すべてのものが「新しい」。
見るもの、聞くもの、感じるもの。
とにかく、全部が「はじめて」だから当然だ。
ただ、時間が経過とともに経験を重ねていくので、その「新しい」感覚は必然的に減っていく。
あらゆるものに、慣れていく。
そうすると、いつの間にか、あらゆるものの「境界線」が曖昧になっていき、溶け込んでいってしまう。
すべてのことが「当たり前」になってしまう。
「当たり前」のことなんて、本当は何ひとつ、ないのにね。







人間は、「分ける」生き物だ。
国も、料理も、色も、病気も、罪も、思想も、植物も、性別も、感覚も、何もかも。
物事は分けられ、整理され、それぞれに名前がついている。
それ自体が悪ではないし、整理をするために必要なのはとてもよく理解できるし、恩恵もたくさん受けているとも思う。
ただ、それに固執しすぎたり、「分けること」が目的になったり、「分けたもの」の奪い合いやそれによる争いが生まれたりするのは、まったくもって『本質』ではない。
目安として「分けたもの」が、武器になってしまうなんて。
「分けたこと」によって、誰かが不幸になってしまうなんて。
もう、本当に、心が傷むばかり。







私は、「音楽」と「言葉」には厳密な境界線はない、と感じていたことを原動力にして、このブログを始めた。
「1+1=2」というような、数学的なこととは真逆のベクトルだ。
はっきりとした答えがあったとしても、それはすぐに、消えていくかもしれない。
ただ、そこになにかしらの「ヒント」や「きっかけ」や「ひらめき」があればいいなと、毎日、毎時、毎分、毎秒、想いを馳せている。