2016年6月8日水曜日

Hallo, Amsterdam!|アムステルダム -1日目-

※こちらの記事は、HOUYHNHNMブログ『Escape by Melody《メロディによる逃走》』に掲載されていた内容です。


2016年4月28日。
さようなら、ロンドン!



ヒースロー空港から、海を越えて、オランダのスキポール空港へ。

ターミナルを電車で行き来するヒースロー空港と比べると、とってもコンパクト。
迷うことなく電車乗り場まで辿り着き、アムステルダムの市営交通会社(GVB)が運行する、すべての公共交通機関(バス、トラム、地下鉄、フェリー)が乗り放題のトラベルチケット(3日間用)を購入。


乗車時と降車時に、専用の機械にピッとタッチするだけ。チケットには路線図もついていて、とっても便利。


初日は、とりあえず目的もなく、街をぶらぶらお散歩。
もう、とにかく、目に映るもののひとつひとつが、すべてかわいらしい。





オランダ語は私にとってとても難解だけど、建物や看板の形や色は、とてもシンプルでわかりやすい。
丸みを帯びたフォントに、三角の屋根、四角い窓。
子供の頃に描いた絵が、そのまま現実になってる感じ。



アムステルダムの中心部は、扇の形をしていて、その扇の横方向にに5本の線を入れるように運河がある。
なので、ちょっと歩けばすぐ橋があって、運河が見える。
太陽の光が反射して、水面がキラキラと輝いて、街全体をデコレーションしているようで、つい見とれてしまう。

ただ、アムステルダムの道路は、歩行者専用と、自転車専用と、トラム(路面電車)兼車(バスも含む)専用と3つがあり、特に、自転車に乗っている人がものすごく多い。
なので、建物や運河に見とれて、自転車専用の道を歩いてしまう、ということが何度もあった。(そもそも私は東京でも、車線の中を歩くのが苦手なんだけど…)


通りかかったダム広場の前には、大きな移動遊園地。
60〜70年代は、世界中のヒッピーがここに集まっていたとかいないとか。





夜ごはんは、オランダの伝統料理レストラン「Petit-Restaurant de Rozenboom」へ。



頼んだものが結局なんという料理なのかがよくわからないまま(食べたことのない味、というよりは、あまり味つけがされていなかった?)、中心部から少し離れたところにある、宿泊先の「Hotel Not Hotel」へ。

吹き抜けの大きなロビーにある小型のバスが宿泊スペースだったり、天井から椅子がぶら下がっていたり。(しかも実際に登って座ることができる)
部屋はどこも小さそうだけど、ユーモアに溢れた、とっても斬新なホテル。
バストイレは共同だけど、ただ寝るだけのシンプルな部屋って、「旅」という本質にあっている気もする。




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アムステルダムの運河に囲まれた街を歩いていると、この、ぷくぷくとした音が特徴的な”Bubble World”を思い出す。
2014年リリースのこのEPに出会った時は、ただただ、ドキドキしてた。
ヴァンクーヴァー出身のユニット、Pender Street Steppersによるもの。レーベル”Mood Hut”は、センスの光る作品が多い。

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Pender Street Steppers - Bubble World



2016年6月4日土曜日

ソーホーのレコード屋巡りと、ダルストンのお気に入り|ロンドン -4日目-

※こちらの記事は、HOUYHNHNMブログ『Escape by Melody《メロディによる逃走》』に掲載されていた内容です。


2016年4月27日、乾いた空気と眩しい太陽の光に包まれた、水曜日。
ちょっと遅めの朝食は、クイーンズ・ロード・ペッカム(Queen's Road Peckham)駅の下にある、Blackbird Bakeryにて。


日替わりで焼かれるパンが違うようで、種類もとっても豊富で美味しい。
大きなマグカップに入ったカフェラテと、とてもよく、あう。




ロンドン・オーバーグラウンド(London Overground)に乗って、大きなもくもくした白い雲が浮かび上がる景色を見ながら、中心部へ移動。
歴史的建造物を見るのは、次週行くパリで、と決めているので、ロンドンでは、今の自分の生活に直接的な場所 /ものを求めて、まずは、レコード屋さんが密集するソーホー(Soho)エリアへ。



Phonica Records
ダンスミュージック中心のレコード店。CD、Tシャツやバッグなども販売していたり、ソファーでゆったりすることもできる。



Sister Ray
ロック全般が多い印象。



Reckless Records
1ユーロの棚から、帯付きの日本版のレアなレコードまで。ジャンルも多岐に渡る。



Sound of the Universe
細かく丁寧にジャンルわけされていて、こだわりのあるラインナップ。ソウル系が充実。



何枚かレコードを買った後、大英博物館のそばにある本屋さん「London Review Bookshop」へちょっとだけ立ち寄る。


ジャンル別に様々な書籍がきれいに並べられており、現地の書籍をチェックするにはとてもよさそう。



通りを曲がったところで、たまたま見つけたティールーム「Tea and Tattle」でひと休み。


一階は、東洋系、アフリカ系の本やポストカード、お面などの雑貨が並び、喫茶店は、地下一階。1908年からある老舗。



ストロベリー&ブラックペッパージャムと、マイルドなクリームチーズがのったイギリス定番のスコーンは、甘すぎないクラシックな味。シンプルでとっても美味しい。
セットで、ふわっと香ばしいアールグレイの紅茶(ティーカップ約4杯分)ととてもよく合う。



繁華街の中は「Fish&Chips、まだ食べてないの?それなら、うちのお店へおいでよ!」と言わんばかりの看板があちこちにあったけど、ここはゆっくりとした時間が流れている。



バスに乗って、一気に北東方面へ。
到着したダルストン(Dalston)エリアは、イースト・ロンドンの北側にあり、”自分が欲しいものは自分で見つけるスタンス”というような雰囲気。観光地っぽさはない。



可愛らしい古着がディスプレイされている「Here Today Here Tomorrow」は残念ながら定休日。



Eldica」は、ファンク、ソウルが多めの中古レコード屋さん。
リカちゃん人形みたいなかわいい金髪のポニーテールの女の子がやってきて、店員のおじさんにいろいろ質問してた光景はとても微笑ましかった。



クラブ「Dance Tunnel」を通り過ぎる。


Pender Street Steppers、 Huerco S.など、日程があえば行きたかったイベントがいくつか。


チェーン店のリサイクル・ファッション・ショップ「Traid」は、日本でいうモードオフみたいな感じ。掘り出し物があればラッキー。



そして、今回ロンドンでもっともお気に入りの古着屋さん「Pelicans & Parrots


代官山の古着屋さん「slow」にも少し雰囲気は似ているんだけど、もっと野性的な感じ。
店内に並ぶアイテムはもちろん、店員さんのジョークも最高。奥の方まで歩いていった甲斐があった。


麻製のトップスと、パイナップルのオブジェを買って、来た道を戻り、さっき行った「Eldica」のななめ向かいにあるレストラン「White Rabbit」へ。
ミランダ・カー似のとってもキュートでフレンドリーな店員さんが、外が見えるガラス越しのカウンター席へ、優しくエスコートしてくれた。


後ろのテーブルには、レコードが無造作にばさばさっと置いてある。
シンプルなのにどれもひとひねりきいたメニューは、白ワインにとてもよくあう。



19時過ぎだけど、外はまだ17時みたいに明るい。
目の前にはJAZZ BARもあるし、もっと暗くなったら、この通りはもっと賑やかになるんだろうな。


夜は、ロンドンに来たら絶対行こうと決めていたライブスペース「Cafe OTO」へ。


店内で販売されているレコードは、ノイズやワールドミュージック(日本のものも含めて)が多く、どれもレアなものばかり。
タルコフスキーの「惑星ソラリス」のサントラのLPなんて、初めて見た。

この日は、前衛的なミュージシャン3組。
ハイライトは、Lisa Busbyによるライブのラストナンバー。
ターンテーブルの針を、極限までギリギリ触れる程度に、「シェルブールの雨傘」のレコードの溝に置いて、一周回転する音をループさせて、その上に自分の声やノイズ、サンプリングした音などを重ねていった、後の、感動のクライマックス。
予測のつかないアイディアとライブパフォーマンスに、会場にいる人たちはみんな、驚き、息をのみ、そして拍手喝采。素晴らしい夜だった。


ライブの余韻に浸りながら、小雨の中、ロンドン最後の夜の空気を、全身に染み込ませる。


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曇りがちなロンドンの風景によくマッチする、Suzanne Kraftの”Male Intuition”が収録された、昨年リリースされたLP「Talk From Home」は、どの楽曲も異国感があり、でも、どこか懐かしさもある、やわらかな曲線が美しい、今でもまだよく聴く一枚。

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Suzanne Kraft - Male Intuition



2016年6月1日水曜日

アビー・ロード、ペッカム、ブリクストン|ロンドン -3日目-

※こちらの記事は、HOUYHNHNMブログ『Escape by Melody《メロディによる逃走》』に掲載されていた内容です。



2016年4月26日、日差しの眩しい火曜日。
午前中は、バスに乗って、あのアビー・ロード(Abbey Road)へ。


世界の多くの国は、日本とは違って、すべての道路に名前がついており、その道路の○番地、というのが住所になる。
その名の通り、アビー・ロードという道路の看板を探してうろうろ。
閑静な住宅街の中、やっとたどり着いたアビー・ロード・スタジオ(Abbey Road Studios)。



実は、「スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還」や「未来世紀ブラジル」のサウンドトラックもアビー・ロード・スタジオで録音されたのだけど、周りの壁は、世界中のThe Beatlesのファンによるメッセージでぎっしりと埋め尽くされている。


スタジオの前にある、The Beatlesの1969年のアルバム“Abbey Road”のジャケットで有名な横断歩道は、まさかの工事中で半分以上見えない状態だったけど、スタジオの横にあるショップに入り、ポール・マッカートニーの熱狂的なファンであるママへのおみやげ選び。
店内は一貫してポップな雰囲気だけど、奥の方には、ポールが愛用していたヘフナー・500-1のベースと、今年3月に亡くなってしまった、5人目のビートルズとも言われるプロデューサー、ジョージ・マーティンが使用していたアップライトピアノが展示してある。
チョコレートとポストカードを買って、アビー・ロードに、グッバイ。



次は、真逆の南東方面、ペッカム(Peckham)というエリアへ。
ロンドンで最先端な場所、と言えば、東側のイースト・ロンドンと言われている。
そこに比べると、かなり南の方にあるペッカムだが、現地の人曰く、ここ最近、じわじわ人気があがってきてる地域だそう。(しかも日本に帰った後も、知人から同じような話をたまたま聞いた。)
昔は、犯罪の多い治安の悪い場所だったらしいけど、近年は、音楽/芸術系の学校があるのでその学生たちが多く住んだり、新しいお店が少しずつできている。
行きそびれてしまったお店を、ここにメモ。


<レコード屋/本屋&カフェバー>
■Rye Wax
https://www.ryewax.com/

<古着屋>
■Bias
https://bias.store/

<チョコレート屋>
■Melange Chocolate
https://www.themelange.com/

<食材屋>
■General Store
https://www.generalsto.re/

<うなぎ料理(イギリスの伝統料理)>
■M.Manze
http://www.manze.co.uk/


ロンドンならではの二階建ての赤いバスに乗って、今度は少し南西へ。
友人に薦めてもらった、ブリクストン・ヴィレッジ(Brixton Village)へ足を運ぶ。




小さなお店が集まる、アーケードのある商店街。
ちょうど、雨が降り出したタイミングだったのでラッキー。
世界各国のレストランやカフェ、ギャラリー、古着屋さん、お花屋さん、雑貨屋さん、電気屋さんなどが並ぶ。


海外であまり日本の料理を食べたことがなかったので、お好み焼き屋さんの「おかん」へ。冷えたからだにお味噌汁が染み込む。

ごはんの後は、「KOKOO」というオーガニックのカカオを使ったチョコレート屋さんへ。


トングを持って、ミントと、ジンジャーと、レモン(だったかな)の3粒のチョコレートを選んで、ご機嫌に鼻歌を歌ってるGrace Jonesみたいな店員さんがいるレジでお会計。
チョコレートを少しずつかじりながら、ブリクストン・ヴィレッジを出る。



大通りに出るとH&Mなどの大型店があり、ちょっと小道に入るといわゆる地元の商店街、といった雰囲気が強く、お客さんも若者より年配の方が多くなる。
美容室、ギフトカード専門店、衣装屋さん、そして、CD屋さん、レコード屋さん。
すぐ近くにあるマーケット・ロウ(Market Row)も、アーケードつきの商店街で、おしゃれなお店から魚屋さんまでとてもにぎやか。
街全体がどこか懐かしい感じがするのは、武蔵小山か吉祥寺あたりに似ているからかも。生活に密着している感じ。





空はまだ明るいけど、もう夕方17時。
夜、私がDJをする会場、The Birds Nestへ向かう。
Time Outの「LOVE LONDON AWARDS」に去年選ばれたパブでもあり、今回、私が行くロンドンのエリアで、一番東に位置する。


それにしてもロンドンは、ついつい、向かう途中の建物の壁に描かれている絵に目が奪われてしまう。




会場につくと、店内はすでに多くの人が楽しそうにビールを飲んだり、しゃべったり笑ったりしている。
年齢層はバラバラ、パンキッシュな女の子たちもいれば、ひとりで飲んでるおじさまもいる。
BGMは、UKロックが基本。
手前はパブで、奥はカフェのような雰囲気。




リハーサルがちょっと押して、夜の19時半くらいからイベントスタート。
日本の楽曲では、坂本龍一の「美貌の青空」、細野晴臣の「Strange Love」、矢野顕子の「TONG POO」をプレイした。


絶えずお客さんが出入りしていて、ワインのすすむ楽しい夜。
あっという間に、24時。
友達と未来の話をしながら、終バスで帰宅。


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YMO解散後の後、1984年リリースされた細野晴臣のアルバム「S・F・X」より。
妖しく跳ねるメロディとビートがクセになる、ストレンジ・ラヴ。

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細野晴臣 - Strange Love


2016年5月28日土曜日

イースト・ロンドン|ロンドン -2日目 PART2-

※こちらの記事は、HOUYHNHNMブログ『Escape by Melody《メロディによる逃走》』に掲載されていた内容です。


イースト・ロンドンにあるブリック・レーン(Brick Lane)通り。


壁という壁が、ストリートアーティストによるグラフィティで埋め尽くされ、世界各国のレストランやバーが立ち並び(東南アジア系が多い)、古着屋がいくつも連なる通り。
今まで歩いたロンドンの街のイメージとは、また印象ががらっと変わる。
クリエイティブな匂い。
歩いてる人たちもおしゃれな若者が多い。


こじんまりした古着屋でネックレスを買った後、ラフ・トレード(Rough Trade)へ。


Larry Heardのアルバム”Another Side”が流れる店内。
入ってすぐ左側にコーヒーカウンター、手前にレコード、奥にCD、さらに奥には小さめのイベントスペースがある。
東京のレコード屋と比べると広い感じがした。

ラフ・トレード・レコード(Rough Trade Records)は、レーベルの財政をバンド解散まで支えていたザ・スミス(The Smiths)や、他にもアーサー・ラッセル(Arthur Russell)、アズテック・カメラ(Aztec Camera)、ベル・アンド・セバスチャン(Belle & Sebastian)、日本のプラスチックス(Plastics)が在籍していたこともあるレーベル。
そこにいるだけで、ポストパンク、オルタナティヴ・ロック、そこから派生するすべての音楽を通じて、“イギリスっぽい”質感を生で感じられる悦び。


結局、わざわざロンドンで買わなくてもよい新譜を2枚ほど買った後、たまたま通りかかった、CLOSE-UPというカフェで一休み。


本とDVDがずらっと並ぶ店内。
どうやら映画上映もしているカフェらしく、そのラインナップは、ルイス・ブニュエル(Luis Buñuel)、アキ・カウリスマキ(Aki Kaurismäki)、ロマン・ポランスキー(Roman Polanski)、イエジー・スコリモフスキ(Jerzy Skolimowski)など、錚々たる面々。



店員の女の子も、来ているお客さんも、流れている音楽(おそらく、なにかしらの映画のサントラ)も、テーブルに置いてある多肉植物も、すべてのバランスがパーフェクト。
ロンドンに行くことがあれば、何度でも通いたい場所。



さらに北へ行き、ショーディッチ(Shoreditch)というエリアにある、とにかくおしゃれなエースホテル(Ace Hotel)を覗き見。

ずらっとレコードが並んだロビーをはじめ、オリジナルのグッズを販売するショップや、ギャラリー、バーやジムなどもある。
さらにホテルの部屋の中には、アンティークの家具や、レコードプレーヤーまであるらしい。
向かいにある中古レコード屋さんのシスター・レイ(Sister Ray)で買ったレコードを部屋に持って帰って、すぐ針を落として過ごすことができるだなんて!


ということで、残念ながらそのホテルには泊まることなく、折り返し。
プロジェクションマッピングされた壁に、ペイントしているところを眺めながら帰路。



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以前、ラフ・トレード・レコードからリリースもしたことのある、スフィアン・スティーヴンス(Sufjan Stevens)の昨年の素晴らしいアルバム「Carrie & Lowell」より。
行きの飛行機の中の、ふわふわした時間を埋めてくれた一枚。

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Sufjan Stevens - Carrie & Lowell